横田めぐみさんの「歯」をめぐる怪奇⑧

 外国人から日本のあれこれについて質問され、即答できすに考えこんでしまうことがある

 その1。立ち食いそばが好きな若いアメリカ人の男性が私に聞いてきた。

 「天ぷらそばって、なんであるんですか?」

 はぁ?

 「天ぷらはクリスピーなのがおいしいのに、つゆそばに入れるとコロモは濡れちゃうし中身が出てきたりして、天ぷらのよさが台無しになります。なんで天ぷらをそばに入れるんですか?」

 うーん、わからない。「チコちゃんに叱られる」みたいになってきたぞ。

    ただ、私は田舎者なのか、つゆでグズグズになった天ぷらが好きだが。

 外国人の質問、その2。これは中東のイランで尋ねられた。

 「日本はアメリカに原爆を2回も落とされてひどい目にあったのに、なぜアメリカと仲良くしているのですか?」

 さあ、みなさんはこれにどう答えますか。

 

 同郷の写真家、土門拳は1958年に写真集「ヒロシマを発表して内外に反響を呼んだ。なぜこれが衝撃を与えたのか。

takase.hatenablog.jp


 広島、長崎の原爆被害の実態は、GHQによって厳しく秘匿されつづけた。そのため、戦後の混乱期、原爆がもたらした破壊と悲惨は、「タブー」とされてメディアも報道せず、多くの国民の意識から消え去っていった。被爆者はアメリカの核兵器研究の人間モルモットとして扱われ、偏見・差別のなか、救済されることなく、どん底の暮らしに沈んだ。

 被爆者差別の存在やその実態が、広く公にされることがなかったことについて、NHKは2010年の番組で、その原因を「戦後のGHQによる言論統制を受けた報道機関が、正しく原爆に関する報道を行わなかったため(略)」と分析した。

 人々は原爆投下から13年も経って世に出た写真集「ヒロシマ」を見て、こんなにひどいことがあったのか!と驚き、認識をあらためたのである

 原爆投下はまごうことなき戦争犯罪であり、国際法違反であり、人道にたいする罪である。しかし、アメリカは謝罪することも裁かれることもなかった。

 ところが、朝ドラ「虎に翼」のモデル、三淵嘉子は原爆投下は国際法違反だと判決を下したらしい。「らしい」というのは本の宣伝で見ただけだから。

三淵嘉子はこんな判決を下していたのか、、、

 さらにGHQは、日本政治の根幹を仕切るために、恐るべき謀略を仕掛けたのである
(つづく)
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 アムネスティ・インターナショナル日本の記者会見「脱北者が語る『闇に包まれた北朝鮮の人権危機』」に行ってきた。

10日の会見

安明哲さん。政治犯収容所について詳しい証言ができる唯一の人だ。

 アムネスティ韓国のスタッフとNorth Korea Watchアンミョンチョル(安明哲)事務局長が、北朝鮮の人権状況の改善のための今後の協力を求めて来日している

 アンミョンチョルさんは政治犯収容所で警備兵だった。彼とは10年以上前、日テレの「バンキシャ」という番組で一緒に出演したことがある。また、韓国で以前の私の会社のスタッフが何度もインタビュー取材させてもらった。うれしい再会だった。

 拉致問題もそうだが、政治犯収容所や強制労働などの人権問題も、北朝鮮内部からの改善の動きにはまったく期待できない。普通の独裁国家なら内部に状況を変えようとするグループや個人がいて、外部から支援するということがありうるが、北朝鮮については外部から圧力を加えるしかない。だから国際的な協力が必須なのだ。(これについてはまたあらためて報告する)
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 ストックホルム合意というチャンスが活かされることなく、拉致問題は膠着したまま今に至っているが、失敗を取りかえすにはどうすればよいのか。

 先日紹介した、ジャーナリストの有田芳生さんは、横田さん夫妻と孫のウンギョンさん一家の面会を仲介し、結果としてストックホルム合意成立に関与することになったが、共同通信の取材にこう答えている。


 ―合意から10年。どのように受け止めるか。

 「2014年3月に、拉致被害者横田めぐみさんの両親の滋さん、早紀江さん夫妻と、めぐみさんの娘キム・ウンギョンさん夫妻との面会がモンゴル・ウランバートルで実現した。こうした人道的課題が進んだ環境の下で成立した合意だった。福田政権から民主党の野田政権まで積み上げてきた下地があった。進展を期待したが何も動かず、北朝鮮が核・ミサイル開発にまい進し、安倍政権が圧力を強化する中で死文化してしまった」

 ―進展する可能性はあっただろうか。

 「北朝鮮が用意していた調査報告書を日本が受け取っていれば、可能性はあったのではないか。日本は、受け取った上で内容を徹底的に検証して問題点を突き付け、必要ならば調査のために平壌に連絡事務所を設置するなど、一歩でも二歩でも進めればよかった」

 「北朝鮮は合意の際に、拉致被害者田中実さんと、拉致の疑いが拭えない金田龍光さんに関する生存情報を伝えていたと、当時の外務省幹部が今では認めている。安倍政権は全ての拉致被害者の帰国を掲げていたが、この2人の生存を確認するだけでも、政権にとっては成果だった」

 ―今後、日本はどうすればいいのか。

 「報告書があるなら受け取り、『不幸な過去を清算し、懸案事項を解決する』とした日朝平壌宣言にもう一度立ち戻って、具体的な政策実現を進めるしかないのではないか。人道問題の観点から雰囲気をつくっていくことは、ストックホルム合意の教訓だと思う。幼児教育・保育や高校の無償化から朝鮮学校を除外しているのは差別であり、こうした問題を解決する必要もあるだろう」

 有田さんは「人道問題をテコに」できるのではないかと言う。モンゴルでのウンギョンさん一家との面会の2年後、有田さんは安倍首相に再会の提案をしていた横田滋さんが存命中の2016年3月17日の参議院予算委員会でのことである。

 「例えば政府も含めて、その後の肉親との出会いというものを人道的問題として拉致問題は絶対解決しなければいけませんけれども、滋さんは83歳になられた、早紀江さんは2月で80歳になられた、そういうお年も考えれば、拉致問題の解決という大きな重要な問題とは切り離して、人道問題としてこの問題は、2年前総理が実現されたように、進めていくことも考えなければいけないと思うんですけれども、これからのことを、御夫妻の意向も含めて、総理、お聞きになる御予定ありますでしょうか。」

 安倍首相はまともに答えなかったが、滋さんが亡くなった現在、早紀江さんが元気なうちにウンギョンさんに会わせてあげたいと切に思う。早紀江さんは遠慮して、自分から「会いたい」とは決して言わないだろうが、そこは忖度して実現に動くべきではないか。

 早紀江さんは、10年前、モンゴルで水入らずの3日間を過ごした後、ウンギョンさんと別れる時のことをこう述懐している。

 「今日みたいなことが起こるのだから、必ずまたいい日が来るから。希望だけは捨てないでね。絶対に希望ですよ」と言って窓から手を差し出すと、向こうも握り返してきて、涙をためながらも笑顔で「うん」とうなずきました。(『愛はあきらめない』P20)

 二人のこの希望は叶えられるのだろうか。

(連載おわり)

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 なお、有田さんの提言にはほとんど同意するが、朝鮮学校の扱いについては私は違った意見である。

 朝鮮学校の児童生徒に対するヘイトクライムヘイトスピーチは罰せられるべきだし、拉致問題朝鮮学校の問題を絡ませることにも反対する。その上での異論である。関心ある方は以下。
https://takase.hatenablog.jp/entry/20160229
https://takase.hatenablog.jp/entry/20170721