原発事故による生活破壊にもっと関心を

takase222014-05-16

モチノキの若葉がきらきら輝いている。
日増しに陽射しが強くなり、木々の葉に生命力を感じる。

きのう読んだのは「美味しんぼ」の今週号。きょうは、もっとも物議をかもした先週号を読んだ。
福島取材を行っている主人公の山岡が、「最近ひどく疲れて」ともらし鼻血を出す。彼だけでなく、取材に行った三人にみな鼻血が出る症状が見られることがわかる。山岡の父、海原雄山も鼻血が出たといい、「福島に行くようになってからひどく疲れやすくなった」と語る。
これを受けて、実名で登場する前双葉町長の井戸川さんが「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」と発言し、居合わせたみんなが驚くところで終わる。
たしかに、これを読めば、福島県にはとても住めないなと印象付けられるだろう。

放射能の水準に敏感な人のなかには、関東地方もあぶないと沖縄まで移住した人もいる。どこまでが危ないのか、人によって評価・判断の基準が異なるのはいい。
ただ、この漫画の問題は、評価・判断の前に、福島県原発事故のあと鼻血や異様な疲労感を訴える人が「大勢」いるということが事実かどうかだ。私自身は聞いたことがないのだが、この機会に検証してみればよい。

一つ残念なのは、放射能の健康への影響については、(とくに福島県以外では)関心が高く、今回のように盛り上がるのだが、原発事故のもっとも深刻な被害は別にあることだ。
それは、このブログでも繰り返し書いてきた、避難による生活の破壊であって、その典型的なものが震災関連死である。
東日本大震災後の肉体・精神的疲労が原因で亡くなったり自殺に追い込まれたりした「震災関連死」が、岩手、宮城、福島の被災3県で2973人に上ることが朝日新聞の調べでわかった。東京電力福島第一原発事故による避難者が13万人を超える福島県が最多の1660人で、津波地震による「直接死」の1607人を上回った。被害が長期化する原発事故の深刻さが浮き彫りになった。》(朝日新聞3月7日)
これの救済にもっと焦点があてられるべきだと思う。