国立科学博物館の特別展「グレートジャーニー・人類の旅」をみてきた。
仕事と雑用が立て込んでいるのだが、この週末かぎりなので、何とか時間を作って行ったのだ。
冒険家、関野吉晴が「我々はどこからきたのか」を求めて、南米最南端のナバリーノ島から人類が誕生したアフリカまで、人類の拡散ルートを逆にたどっていった大旅行がグレートジャーニーだ。
旅の始まりが1993年。近代的動力を使わないことを旅のルールとし、自らの腕力と脚力を頼りに、徒歩・自転車・カヤック、そして動物たちの力を借りながら東アフリカまで踏破した。
次から次へと壮大な旅に出かけていく関野さんに、奥さんが「ばかな人だと思ってたけど、そこまでばかだと思わなかった」と言ったという話は以前紹介したが、彼を支えた家族もえらい。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20100509
特別展はたいへんな盛況で、それぞれの展示の前に行列ができ、なかなか進まない。多くの人が説明文をきちんと読もうとしている。熱心である。
グレートジャーニーについては分かっているんつもりだったが、今回の展示で、あらためて感動した。私の、そして今わたしとともに地球に生きる人類の祖先が生をつないできてくれたことに感謝したくなる。気の遠くなるほど多くのご先祖さまたちの一人でも欠けたら私はいなかったわけである。
また、極北から熱帯林、砂漠まで、実に多様な環境に適応してきた先人の知恵と努力に尊敬の念をおぼえる。
現在の我々が、自然の中で生きる能力を失った惨めな存在であることにも気づかされる。
関野さんは、我々はどこから来たのかをさぐっていくなかで、「我々はどこにいくのか」におもいを馳せ、人類の将来への問題提起を行っている。
会場に『人類滅亡を避ける道』という本が売っていて、関野さんの訪れた人々の知恵で直面する人類の危機を何とかしたいという危機感が現れている。
全体として「家族」がテーマの基調になっているのもよかった。
グレートジャーニーの終着点は、タンザニア・ラエトリ遺跡にある、人類最古の足跡。ここを人類が拡散していったスタート地点とイメージするわけである。この足あとは大、中、小の三つのサイズが確認されており、父、母、子どもの三人家族だったと推定されている。
写真がその復元模型。モデルはナインティナインの岡村隆史だった。
家族ができて子どもが生まれて、つながって、つながって、つながってきた命。
出口のメッセージが、「さあ、こんどはあなたが歩き出す番ですよ」というもので、それを何組ものカップルがじっと見つめていたのが印象的だった。
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朝日歌壇、2週まとめて。
先週は常連がたくさん佳作で入った。
まず、松田梨子さんは大阪に行ったらしい。修学旅行か。
大阪はにぎやかな街夕日さえ明るく沈む「ほな、さいなら」と
松田わこさんの歌。おねえさんの梨子さんは京都にも行ったようだ。
ねえちゃんが京都で作ってきた和菓子四等分するオレンジのバラ
4人家族できちんと分ける仲良し一家だ。
米国の獄中で詠む郷隼人さん。
椰子の樹の戦(そよ)ぐ加州の大空よ監獄さえも美しき五月
久しぶりに中村桃子さん。
牧之原知覧に宇治の味くらべわが家の朝は新茶で始まる
急におとなっぽくなったように感じる。
さて、今週。
梨子さん、わこさんのお母さん、松田由紀子さんが娘を詠んだ。
思春期も反抗期も大あくびして眠ってしまえばただのマシュマロ
そしてあの上田結香さんは、二首入選。
「元気ですか?」「元気ちゃうねんええ女いてないしな」って 元気でよかった
車窓から「宿題したのか!」浜に怒鳴り島のタクシーたくましき母