飯島参与訪朝の真相は?

takase222013-05-15

こないだ、すごいご馳走が食卓にならんだ。
石巻市雄勝(おがつ)から生ガキが届いたのだ。
石巻市は、「情熱大陸」で地元紙「石巻日日新聞」を取材させてもらった縁もあるし、かつて女川町のサンマを送ってもらっていたこともあり、このあたりはいつも何かと気になっている。
去年暮、石巻日日新聞を再訪したさい、雄勝まで足をのばした。雄勝は初めてだったが、その被害のすさまじさに言葉もなかった。4300人の人口が1000人まで減ったという。
そのとき、雄勝町の「OHガッツ!」http://oh-guts.jp/about/history.htmlという会社の事務所を訪れた。HPにはこうある。
《漁業を取り巻く環境は、従来から厳しいものでした。これは雄勝町だけでなく、日本全体が抱える大きな問題でもあります。私たちは新しい形の合同会社を通して、新しいモデルケースを作り、日本に向け、世界に向け、漁業の確かな未来を提案していきたい》
応援したいなと思い、少額のカンパで会員になったら、その「見返り」に15個ほどのカキが冷凍で届いたのだ。
大きいものは縦10センチほどもある。たぶん私がこれまで食べたうちで最も美味だった。ごちそうさま。若い人たちを惹きつける魅力的な漁業にしてほしいと祈っている。
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朝鮮半島関連のニュースが続く。
橋下徹大阪市長の「風俗」「慰安婦」発言が飛び出し、安倍総理が「安倍内閣の立場とは全く違う」と表明する事態に。
きのうは飯島勲内閣官房参与参与の訪朝が大きな話題になった。

拉致問題に関する訪朝であることは確かだが、これがどれほどの「深さ」を持っている行動なのかが問題だ。
テレビに出た専門家は、「北からの働きかけ」と解説する人が多かったが、私は、安倍内閣のパフォーマンスの可能性が高いのではないかと思う。参院選前に、ちゃんと拉致問題をやっていますよとアピールするためではないか。
すると急に、衆参ダブル選挙の観測も流れてきた。
2002年の小泉訪朝のときと比べると、今回の飯島氏の動きは全く様相を異にする。
2002年のときは、田中均氏によれば一年におよぶ周到な裏交渉があったという。
「私はほとんどの場合、週末を活用して、北朝鮮側と二十数回の交渉を行った。(略)交渉前の木曜日か金曜日に必ず官邸に総理や官房長官を訪ねて事前の打合せを行い、交渉から帰国した後の月曜日か火曜日に再び官邸を訪れて報告をするということを一年間繰り返していたのである」。(田中均『外交の力』P103)
これが全く漏れなかったのだから、当時の日本はしっかりと「外交」をしていたのである。
裏交渉でセッティングされたところに小泉首相が電撃的に乗り込んだ。
今回の飯島訪朝は結果的に秘密でもなんでもなくなった。すでに裏で煮詰まっていて今や「仕上げ」に入っているという事態は考えにくいから、結局はパフォーマンスだろうと思うのである。
私は拉致問題の全面解決は北朝鮮民主化を待たねばならないが、同時に今の全体主義体制の下でも2002年のような一部被害者の奪還、つまり部分的解決を追求すべきだと思っている。だから、北朝鮮国内の変革を引き起こすための方策と金正恩体制の譲歩を誘う職人的な外交の両方が必要なのだ。
私の予想をうらぎって、しっかり裏のせめぎあいが進められていることを願うのだが・・