犬好きが高じて、たった一人、ツテもなくカナダに渡り、極寒の北極圏を犬ぞりで駆けるマッシャー(犬ぞり使い)になってしまった日本人女性がいる。
本多有香(ほんだ・ゆか)さん39歳。
犬の世話をする下働きから修行を重ね、世界一過酷な犬ぞりレースと言われる「ユーコン・クエスト」(1600km)に挑戦。3回の挫折を経て、出場4回目の今年2月、ついに完走、現地でも大きく報道された。
25日(金)の「地平線会議」で、帰国中の本多有香さんが報告した。
私は残念ながら行けなかったが、報告を聞いてきたかみさんが「彼女すごいよ」と絶賛する。カンパに当てるために急遽編集出版された本をかみさんが買ってきたので、さっそくそれを読んだ。
この緊急出版支援本『うちのわんこは世界一!』はまだ部数が残っているそうなので、関心のある方はお求めください。
http://www.chiheisen.net/_news/_news12/news12-02.html
犬ぞり修行に行こうと決めたが、どこにいったらいいか分からず、カナダ観光局に「犬ぞり犬舎の連絡先を教えて」とファックスし、返事に書いてあったマッシャーのところに旅立ったのが1998年、有香さん26歳のとき。
そこから「がむしゃら」という表現ではとてもすまないような突進力でマッシャーへの道を突き進んできた。
3年前、自分の家(自力で2ヶ月で建てたログハウス)と犬小屋を建て、独立した「城」を持った有香さんは、これから21頭の愛犬の飼育とレースに明け暮れることになる。ソーラーパネルとローソクが灯り、暖房は薪、水は川から汲んでという生活だという。
いま有香さんは、「夢」を叶えつつある。
うーむ、とんでもない「バカ」がいるものだ、と心から感心させられた。
きょう成田からカナダに帰ると聞き、挨拶だけでもしたいなと、実家の新潟から東京駅に着いた有香さんをつかまえた。30分くらいお話して、有香さんは成田行きの電車に乗った。節約のため「成田エクスプレス」は使わない。
写真は電車に乗り込む有香さん。わけあって髪を短くしていた。左下に見えるのは犬に餌を配るヒシャクらしい。
カナダに帰ったら、夏は冬の準備で忙しくなるという。お元気で。
いまの日本で、未来が見えない、展望がないと多くの若者が思っている。
それには十分理由もある。
しかし、本多有香さんのようなひたむきな生き方も知って欲しいと思う。めざすものがはっきりしていれば、客観的な「未来」とか「展望」という言葉は必要ない。
http://more.justhpbs.jp/YukaHonda