横田家の家族写真公開の背景(3)

 きょうは、日本人女性初のマッシャー、本多有香さんの植村直己賞受賞を祝ってビールを飲む会があり、さんざん飲んできた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20160301
 本多有香さんは、以前から「タダモノではない」と目をつけてきたが、はやり本物だった。私がテレビ番組に一度もできていないのが残念。そのすごさについてはいずれまた書く。
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 さあ、みんなで舛添叩きをしましょう・・そんな号令がかかったかのような一斉のバッシング。きょうは都議会からなんとテレビ生中継。全党派が舛添叩きを競う。

 私は舛添さんとは縁があって、インドネシア取材で数日間をともにすごしたり、バンコクで何度かメシを一緒にしたり、アウンサンスーチーの単独インタビューをセッティングしたこともある。
 彼の尻拭いをさせられたこともあり(あとでスーチーさんから「なんて無礼な男なの!」と怒られてえらい目にあった)、いかにトンデモナイ人であるかは身を持って体験している。早く辞めろ!と私も言いたい。しかし、ここまでメディアがバッシングに集中すると、ちょっと待てよと言いたくなる。

大臣のように上手(うま)くは庇(かば)えない  (岐阜県 奥田進)

マスゾエで招致の疑惑忘れてる  (広島県 雨田くらら)
(11日の朝日川柳)

 たしかに・・・。
 甘利さんの件はどうなった?それから五輪の賄賂問題は?
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 さて、きのうの続き。
 有田芳生さんは、そもそも拉致問題そして横田さんご夫妻とどのようなかかわりをもってきたのか。意外に知られていないようなので、ここに紹介してみたい。

【ひ孫のJちゃんを抱く早紀江さんとそれを見る滋さん】
 有田さんは議員になる前から拉致問題には非常に熱心に取り組んできた。
 2002年秋、小泉訪朝の後、5人の拉致被害者が帰国した。それでも、北朝鮮による日本人拉致がまだまだ国際的に知られていない。それを憂えた有田さんは「アメリカ人に拉致問題を啓蒙しよう」と私を誘った。私も国際世論を盛り上げるのは必須と考えたので、ぜひ一緒にやりたいと賛同した。
 有田さんは、湯川れい子さん、勝谷誠彦さんなどに声をかけ、一緒に「意見広告7人の会」を立ち上げた。「右」も「左」もいる面白い顔触れで「会」は活動をはじめた。http://www.jinken.asia/

 どうせやるなら、あの「ニューヨークタイムズ」に全面広告を載せよう。
 そう決めてネットで募金を呼びかけると驚くほどの勢いでお金が集まり、クリスマス直前の12月23日付「ニューヨークタイムズ」に  “This is a Fact”(これは真実です)と題する全面広告を載せることができた。
 750万円もの余剰金が出たので、全額を「家族会」に寄付した。当時「家族会」会長をしていた横田滋さんに余剰金を渡したのが「7人の会」のリーダーだった有田さんだ。

 2009年にはもう一度「会」の動きを作り、1950万円を集めて、「ニューヨークタイムズ」だけでなく仏「ルモンド」、韓国三大紙(「朝鮮日報」「東亜日報」「中央日報」)に全面広告を載せている。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20090225
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20091202
 翌2010年、有田さんは、参議院比例区民主党から立候補し、37万票余りを得てトップ当選を果たした。(ちなみに2位は谷亮子35万票余り)
 公約に「拉致問題の解決」を掲げただけあって、その活躍はめざましく、国会での質問回数はダントツ。一方、拉致解決を訴えて自ら街頭署名に立ったり、日本各地の支援団体の集会など市民レベルでの運動にも足を運んだ。横田夫妻と一緒に講演することも多かった。
 有田さんと私が講師になってご夫妻と一緒に壇上にならぶこともあった。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20101114
 有田さんは「行動の人」である。何もしないのに、勇ましいスローガンを叫び、ブルーリボンバッジを免罪符のように背広の襟につけた先生方とは全然違っていた。
 横田夫妻はつねづね、「政府は情報を全然教えてくれない」と嘆いていたが、その点、有田さんは知りえた情報をこまめに横田さんたちに伝え、相談相手になっていった。忙しい議員活動のなか、拉致問題にはプライベートな時間もかなり割いていた。
 
 私事でお恥ずかしいが、3年前、横田さんご夫妻と有田さんで私の還暦を祝ってもらったことがある。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20130222
 こんなふうに4人で会食しながら楽しい団欒のときを過ごしたものだが、いつもご夫妻はとてもリラックスした様子で有田さんに接していた。
 こうして横田夫妻と有田さんの間にはきわめて強い信頼関係が築かれてきたのである。

 今回の写真公開をめぐる横田家を巻き込んだバッシングは、横田夫妻有田芳生さんの関係を裂くことに狙いがあると思われる。
 それはなぜなのか。
(つづく)