本多有香さん、植村直己賞に選ばれる

takase222016-03-01

犬ぞりレースの本多有香さんが、植村直己冒険賞に選ばれた。

《冒険家の故・植村直己の精神を継承した創造的行動を表彰する「植村直己冒険賞」の2015年度受賞者発表会が29日、、東京・千代田区明治大学で行われ、極寒の原野で犬たちと暮らし、マッシャー(犬ぞり使い)となる夢を実現し、北米2大犬ゾリレース完走を果たした本多有香さん(43)が受賞した。

 カナダ・ホワイトホースに自分の手で作った小屋で27匹の犬と暮らす本多さんは一時帰国し、ニット帽姿で登場。「小さい頃、テレビで見ていた植村さんという大ヒーローの賞をいただけることになり光栄です」と喜んだ。
 新潟県新潟市出身の本多さんは高校卒業後、岩手大農学部に進学。ワンダーフォーゲル部に所属した。在学中の1994年、カナダを旅したときに犬ぞりの世界を知り「大自然の中で犬と暮らし、自分が育てた犬たちと走りたい」と夢見るようになった。大学卒業後、2年半の社会人生活を経て1998年9月に単身でカナダのイエローナイフへ。「止められてしまうので、母には全部準備を済ませてから最後に告げました。(母は)泣きました」。
 カナダと米アラスカで17年間にわたる犬ぞり修業生活に入った。極寒の中での犬の世話や犬舎づくりなどはすべて無給だ。生活費は春から秋にかけてビル管理の仕事などで稼いだ。2012年には森を自らチェーンソーで切り開き、自分と犬たちが住む小屋を作った。電気のない不便な生活。風呂に入るのは知人宅へ行くときだけ。稼いだお金のほとんどは犬のエサ代に消えてしまうため「(自分の)食費はゼロ計画でがんばり、友達にたかっていました(笑い)」。
 しかし、犬たちとともに暮らし、走る毎日は本多さんにとってかけがえのないものだった。「犬たちと一体になれる犬ぞりは、やったらやめられなくなった」。12年に「Yukon Quest」、15年に「Iditarod Traial Sled Dog Race」とともに1600キロある北米犬ぞりの2大レースを完走した。選考委員で早大探検部OBの西木正明氏は「これまでの受賞者は生活の一部に冒険があったが、彼女は生活そのものを冒険にしてしまった」と評した。
 1回のレースにかかった費用は約300万円。借金はどんどん増えていった。植村賞の副賞100万円について本多さんは「借りているお金があるので返したいと思います」と笑った。
 一時帰国のもう一つの目的は、昨年10月24日に69歳で亡くなった母・フサ子さんの納骨式に参列することだった。泣いて心配しながらも、影で支えてくれたフサ子さんを思いながら本多さんは「この賞は母にささげたいと思います」と話した。
 授賞式は6月11日に植村直己さんの出身地で同賞を主催する兵庫県豊岡市で開かれる。同賞は今年で20回目。》

おめでとうございます。
本多有香さんについては、何度かこのブログでも書いたが、すごい人である。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20150405
つい先日、集英社文庫から『犬と、走る』が出た。
選考委員の西木さんが、「生活そのものを冒険にしてしまった」というように、とんでもない人生なのだが、それを楽しんで生きている。
あきれながら、感心してしまう。
・・・・・・・・・
シリアでは、いまも毎日たくさんの民間人が殺戮されている。
殺しているのはアサド政権側だ。

 常岡浩介さんのツイッターより
《停戦しているはずの2月29日にシリア全土でロシアとアサド政権に殺害された非武装市民は29人。
うち3人は子ども、1人は女性であった。
12人はダマスカス郊外で。
4人はデリゾールで。
3人はアレッポで。
3人はラタキアで。
2人はイドリブで。
1人はダラアで。
1人はハマで。》

また、大量餓死が憂慮されている。
《【2月29日 AFP】ゼイド・ラアド・アル・フセイン(Zeid Ra'ad Al Hussein)国連人権高等弁務官は29日、内戦状態が続くシリア国内では包囲作戦により約50万人が影響を受けており、今後、数千人が餓死する恐れがあると警告した。》
停戦がなってよかったね、という状況ではないのだ。