拉致報道15年―拉致と人権4

takase222012-02-17

16日は、金正日の誕生日。
例年この時期には北朝鮮関連のいろんな情報が出てきて、ジャーナリストたちは、その中からどれを選んで流すかが試される。
北朝鮮国内でも式典での指導部の序列から経済、軍事、文化など各種ニュースが出てくるし、この時期配られる国民へのプレゼントの量と質は必ず注目される。
長男の正男(ジョンナム)が、マカオの高級ホテルの部屋代が払えずに追い出されたなどというニュースまで流れ、誕生日に華を添えている。
《正男氏はホテルの滞在費1万5千ドル(約120万円)を滞納。自身のクレジットカードを担保としてホテルに渡したが、残金がなかったという》=共同
一方、韓国では北朝鮮に向けて風船が放たれた。
《故・金正日キム・ジョンイル)総書記の誕生日に当たる16日午前、臨津閣(京畿道坡州市)の望拝壇で、脱北者の関連団体「自由北韓連合」や「北韓人民解放戦線」などのメンバーたちが、北朝鮮の3代世襲を非難する内容のビラを大型風船につるし、北朝鮮に向けて飛ばした》
ビラには、金正恩(ジョンウン)の実兄、正哲(ジョンチョル)と愛人のツーショットの写真も刷られていた。
北朝鮮の人民は、指導者の家族関係は一切知らされていない。正男という腹違いの兄がマカオに暮らし、息子を欧州に留学させていることも、また正哲が愛人とエリック・クラプトンの公演を聴きに海外を遊び歩いていることも知らない。だから、海外で撮影された実兄と愛人のツーショット写真自体が機密扱いなのだ。
「愛のチョコパイ」も一部はこうして風船に乗っけて北朝鮮上空へと向かうのだ。
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さて、だいぶ間があいたが、2月11日の続き。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/?of=5
これまで、北朝鮮による拉致は、日本人のみならず世界諸国民に対する人権侵害だということを書いてきた。
実は、北朝鮮が拉致という残酷な国家犯罪を犯すことは、北朝鮮国民の人権がないがしろにされていることを示していると思うのだ。
私は、会場に一つの質問をした。
北朝鮮核兵器とそれを運搬するミサイルを開発していると問題になったとき、少なくない人々が、そんなことは無理だと言った。90年代後半、300万人、北朝鮮国民のほぼ7人に1人が餓死するという異常事態が伝えられていた。
そんなどん底の国家が、高価な最先端設備や機器、部品と高度な専門教育を受けた多数の人材を必要とする核・ミサイル開発をやれるはずがないというのだった。
はい、それでは問題です。
大量の餓死者を出しながら、国家の貴重な資源を核兵器作りに投入できるのはなぜでしょうか?
(つづく)