北朝鮮がこのまま「安定」していいの?

takase222011-12-26

野田首相が訪中して、温家宝首相と会談し、「朝鮮半島の平和と安定に向けて緊密に意思疎通を図ることで一致」したという。
新聞にも、「安定」、「軟着陸」をと、要するに、このまま金正日体制が変化せずに推移してほしい、金正恩の権力継承がうまく進んでほしいといわんばかりの論調がならぶ。
じゃあ、ほんとに金正日体制のままでいいのですか?
待っているのは、国民生活のますますの困窮と悲しみである。
WFPは今年北朝鮮国民350万人への食糧支援を計画している。
北朝鮮は15年、国際緊急援助が継続するという異常な状態だが、食糧の絶対量が足りないわけではない。北朝鮮国内映像でも、北朝鮮を訪問した外国人の証言でも、市場には食糧が豊富に並んでいるという。
北朝鮮の飢餓はあの体制の政治がもらたした現象なのである。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20110714
豊富な食糧があるすぐそばで多くの人々が飢えている。
とくに子どもが心配である。小さいころの栄養失調は、肉体的な障害だけでなく知能的な後遺症が残るという。家族が死んだり、一家離散したりという厳しい経験で精神的な傷を負う子どももいよう。
さらに北朝鮮では、経済インフラだけでなく、医療、教育、文化など社会の全般的後退・崩壊が進んでおり、民族にとっての大きな損失である。
早く、この体制を倒さなければ。
こういうと、社会がむちゃくちゃになっていいんですか、と反論される。
しかし「体制の崩壊」は、「社会の崩壊」とは全く異なる。ベルリンの壁の崩壊でソ連・東欧圏が異なる体制に移行したように、あるいはカンボジアポルポト政権崩壊のように、その社会は人々が生きやすい方向に生まれ変わるのだ。
北朝鮮金正日体制は、90年代後半、300万人を餓死させ、今も20万人を政治犯収容所で苦しめている。
この体制が続くかぎり、北朝鮮の人々に明るい未来はなく、日本と世界への脅威は増すばかりだ。