ミサイルと共に現役木炭車



 朝の通勤電車から。四谷駅の線路沿いにムラサキハナナ。市ヶ谷付近では外堀通りの桜並木が見える。御茶ノ水駅で降りる。外濠は中央線に沿ってずっと続いているが、この辺りは神田川と呼ばれる。上流の桜の散った花びらが水面を覆い始めている。聖橋から見下ろすと何本か筋がある。ゆりかもめらしい鳥が浮かんでいて、その泳跡だった。この花びらたちは、ここから下って隅田川に、そして東京湾へと流れていくのだろう。


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 国際情勢の動きが激しい。
 朝鮮半島では南北首脳会談が4月27日に決まった。米朝首脳会談も予定される中、金正恩が中国を「電撃訪問」した。
 一方で、英国に続いてEUや米国など20カ国が、ロシア大使館員を大量追放。まるで戦争直前の雰囲気になってきた。
 トランプ政権は相変わらず常識はずれの政策を連発。「貿易戦争」まで仕掛けている。
 なかでも気になるのは朝鮮半島をめぐる情勢。あれよあれよという間にまさかのトランプと金正恩が面と向かうところまでいきそうだ。これが平和につながる素晴らしい動きだというのから、むしろ危険な方向に向かっているというのまで、識者の分析も大きなばらつきを見せている。
 興味深いコメントを挙げておく。
 アジアプレスの石丸次郎さんは、制裁がどれほど効いているかを検証している。
 「2月の対中輸出はたった10億円 制裁で前年比95%減の衝撃「食えない」と職場離脱始まる」https://news.yahoo.co.jp/byline/ishimarujiro/20180329-00083285/
 北朝鮮の主要輸出品は石炭、繊維製品などの加工貿易、海産物、鉄鉱石などの鉱物資源で、2016年にはざっと3000億円を稼いでいたが、これらが全て止められたという。石丸さんが北朝鮮国内にもつ協力者のネットワークから、その影響を聞くと;
 「職場に行っても給料も配給も出ず食べられない」ので職場離脱が起きている。
 軍隊では、「燃料価格が高騰したため運搬車両を動かせない部隊まで出ている。また将校の待遇も悪化して妻が商売に出るのが普通になっている」。
 90年代後半に大量の餓死者を出しながらも乗り切った全体主義体制だが、ここにきて統治のベースも揺らぎかねない事態になっているのかもしれない。

 特定失踪者問題調査会の荒木和博さんは、南北関係の改善→米朝関係の改善→中朝関係の悪化→米国の転換→中国詣でという今の動きが、18年前と同じパターンだという。2000年10月、米国のオルブライト国務長官が現職国務長官として初めて北朝鮮を訪問、大歓迎を受け、クリントン大統領の訪朝寸前までいったが、大統領選でブッシュに敗けて挫折した。その後、ブッシュの「悪の枢軸」宣言から日朝の裏交渉が進み、小泉訪朝、金正日拉致問題謝罪へと進んでいく。大きな構図で見ていかねばと思う。

 ただし、トランプには要注意だ。大統領補佐官(国家安全保障問題担当)という安保・外交のトップにジョン・ボルトンをすえた。私はボルトンを取材したことがあるが、イランや北朝鮮への先制攻撃を主張するアブナイ人である。対北朝鮮外交の手練れのアドバイザーがいないまま、トランプの気まぐれで話を進めて大失敗となる可能性もある。安倍首相は訪米して「拉致もついでに話題にしてください」くらいの「お願い」をして被害者家族に「最大限の努力をしてきました」と報告するのだろうが、トランプに拉致問題をまかせるわけにはいかない。

(狂犬マティス=国防長官は、ボルトンを「悪魔の化身」とからかったという)

 私は、金正恩が核戦力を放棄することはありえないということを前提に、日本はじめ国際社会が騙されないようにしてほしいと願う。
 2013年、金正恩は「党の唯一領導体系確立の十大原則」を発表した。これは北朝鮮の最大の国是である。だからこそきょうのタイトルの川柳(28日朝日川柳、和歌山県一ノ瀬伊久男)にあるように国民の暮らしなど無視しても核・ミサイルの開発に邁進してきたのだ。
 そこでは、金日成金正日の遺訓を守り抜くことが強調され、金日成金正日の領導のもとに北朝鮮が一心団結し、「核武力を中枢とする無敵の軍事力としっかりとした自立的経済をもつ社会主義強国として威力をとどろかせた」とある。
 これを国民に決死擁護させているからには、どんなに口あたりの良い約束・合意をしたとしても核武力を手放すことはないと思っている。