北朝鮮情勢をどのようにとらえるか

 お知らせです。今週、北朝鮮について講演します。
 これまで講演というと拉致問題がほとんどでしたが、今回は、はじめて北朝鮮総論を語ります。取材から見えてきた結論は、北朝鮮の体制は「独裁」とは全く異質なものだということでした。その体制の本質と、体制打倒の可能性について語ります。関心のある方はおいでください。無料で予約はいりません。以下、案内です。

「持続可能な国づくりを考える会」 学習会 11月17日(金)
【持続可能性の条件を考える〜北朝鮮情勢をどのようにとらえるか〜】
 核・ミサイル開発に邁進する北朝鮮に対し、軍事的オプションで脅しをかける米国。いま戦争の勃発が懸念される状況のなか、北朝鮮の意図を理解し、これに効果的に対応することこそ安全保障上の最大の課題です。
 ところが、かの国家のふるまいをどう理解すればよいのかについては混迷の極みにあります。指導者の親族をも抹殺する非道は、北朝鮮の支配体制を「封建的王朝」に例える見方を覆しました。核は外交の手段にすぎないので圧力をかければ核開発を放棄するはずとみた国際社会の予測は完全に裏切られました。北朝鮮ほど「わからない国」はありません。
 経済が破綻し、大量の餓死者を出しながら、なぜ核・ミサイル開発に莫大な外貨や最高の人材を投入することが可能なのでしょう。外国人拉致をはじめ常識はずれの行動を繰り返す北朝鮮の目的は何でしょう。
 北朝鮮による日本人拉致問題を20年にわたって取材しつづけてきたジャーナリスト高世仁氏が、独自の視点から北朝鮮の体制の本質と「問題」の解決について論じます。
●日時 11月17日(金) 19:00〜21:00
●場所 東京ボランティア・市民活動センター 会議室A
JR飯田橋駅・地下鉄飯田橋駅 徒歩すぐ セントラルプラザ(右図緑の建物)10階です。
https://www.tvac.or.jp/tvac/access.html
新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ10階
●参加費:無料 ●定員50人
持続可能な国づくりを考える会 https://jizokukanou.themedia.jp/

 何を話そうかとあらためて振り返ってみると、私の北朝鮮問題の取材が実に多岐にわたっていたことに、我ながらちょっと驚いた。「偽ドル」からはじまり「工作員」、「拉致」、「不審船」、「金一族の素性」、「収容所」、「脱北者」、「帰国事業」、「核・ミサイル開発」、「公開処刑」、「覚醒剤」、「偽タバコ」などなど。
 私と同僚、部下が取材した国、地域は、韓国、米国、中国、台湾、香港、マカオシンガポールベトナムカンボジア、タイ、ミャンマー、インド、レバノン、英国、デンマーク、スペイン、スイス、イタリア、ドイツ、セルビア、ロシア。まだ一つか二つ抜けているかも。ただ、肝心の北朝鮮がないのだが・・・
 どうして、こんなに多くのところを取材する必要があったのか、きっと不思議に思われるだろう。
 英国、スペイン、デンマークは、欧州から拉致された有本恵子さん、松木薫さん、石岡亨さんの足取り取材。レバノン、イタリア、セルビアは1978年のレバノン女性4人の拉致事件取材で、タイ、香港、マカオシンガポールは東南アジア女性が拉致された事件の取材。ドイツでウラン濃縮の資材調達の取材を行い、インドは覚醒剤原料の経由地だった。スイスで金正哲金正恩兄弟を教えた教員や友人を探しに4人のスタッフを投入した大作戦もなつかしい。米国在住の金正男のビジネスパートナーは、私が2回インタビューしに行った。私も現場で取材した偽ドル事件取材では、ベトナムカンボジア、タイ、ミャンマー、米国、マカオ取材と、当時はよくまあ、経費もろくに考えずに、取材班を各地に送り出したものだ。こういう貴重なことを可能にしてくれた人々、取材仲間のみんな、応援してくれた番組プロデューサーはじめ関係者に感謝の念がわいてくる。

 こうしてみると、私たちの取材は世界的に見てもかなり突出していたと思う。我々の取材が現地の警察情報より先に出るということもあった。講演を準備しながら、過去の取材から見た北朝鮮というテーマで本にまとめることができれば、と思った。
 金曜の講演会では、これまでの取材を踏まえて、北朝鮮とはいったいどんな体制なのかを論じてみたい。マスコミに出る「識者」とはかなり違った北朝鮮像になると思う。