劉暁波さんのノーベル賞受賞を祝う会にて

takase222010-11-20

 ゆうべ、東京、恵比寿で「劉暁波さんのノーベル平和賞授与を祝う会」があった。
 会は、詩人である劉さんの詩の朗読ではじまった。
「17歳」という詩がある。銃で撃たれて死亡した17歳の若者を、天安門事件2周年によんだ詩だ。最後は;
年齢を超越し
死を超越した
十七歳は
今や永遠だ

で終わる。

 中国語で朗読する詩は、まるで音楽である。朗読した劉燕子さん(劉氏の詩を邦訳してきた研究者)は涙声になっていた。(写真)
 私は意味はとれないが、音に酔っていた。その後、参加者はピアノによる「イマジン」演奏に聞き入った。
 多彩な顔ぶれの連帯の挨拶で会は盛り上がった。ペマギャルポ氏(チベット出身)やチョウチョウソー氏(ビルマ、LDB)、ヒューマンライツウォッチの代表も来た。
 特に注目されたのは、中国民主化運動のリーダー、ウアルカイシ氏(写真)で、握手ぜめにあっていた。
 この会を呼びかけたのは、北朝鮮難民救援基金の加藤博さんだ。加藤さんが乾杯の音頭を取った。
脱北者を救援する加藤さんたちにとっては、北朝鮮問題とは中国問題に他ならない。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20100810
中国の民主化を進めることで脱北者の状況が改善することが期待され、ひいては北朝鮮民主化につながってくる。
ツイッターを見たら、ビルマ報道を長く続けてきたフォトジャーナリストの山本宗補さんから「加藤博さんはビルマ報道の先駆者だった元フォトジャーナリスト。尊敬してます」とのツイートが届いていた。
そうだった!加藤さんは、ジャーナリスト時代、カレン族独立運動を取材し『地図にない国』という本を1982年に出している。カレン族は彼らの「国家」に「コートレイ」という名前をつけていた。私がビルマの反政府勢力の取材をはじめたころ、その本を教科書にしていたことを思い出した。
 加藤さんはかつて私が属していた通信社「日本電波ニュース社」の先輩で、ベトナム戦争の取材にも関わっている。
ベトナムビルマ北朝鮮と、中国の周辺を回っているのが面白い。加藤さんは、きょうの会を呼びかけるにふさわしい人なのだった。
私は「守る会」の三浦小太郎さんに誘われて会に参加したのだが、三浦さんが昨日の会に触れ大事な指摘をしているので紹介しておきたい。
 《尖閣衝突事件以後、中国共産党ではなく、中国そのものを国民を含めて敵とみなすような言動は皆無ではありません。また、特に漢民族に対し、民主化したところでとその覇権主義はかわらない、少数民族民族自決権は認めないだろうという、いわゆる政府批判ではなく中華思想そのものを批判する声も多くでていますし、私もそれに近い発言をしたことはあります。しかし、今回の劉氏受賞を知り、氏の著作に触れて改めて感じたのは、どの民族にも負の民族性はある。仮に漢民族中華思想的な覇権主義があったとしても、それは民主化の過程で乗り越えることができるものであり、共産党独裁政権こそが敵で民衆は未来のわれわれの友であるという原点を決して失ってはならないということでした》
http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00430