ミャンマーで攻勢に出る民主派勢力

 最近の海外ニュースから

 北朝鮮の制裁やブリなどを監視してきた国連安保理専門家パネルは、ロシアの拒否権行使により、今月末で活動を停止するが、10日、たぶん最後となる調査結果を制裁委員会に報告した

 これによれば、北朝鮮は97件約36億ドル(約5600億円)相当の暗号資産を奪ったサイバー攻撃に関与した疑いがある。また、パネルのメンバーは約230億円については3月に暗号資産の匿名性を高めるミキシングという方法を使って資金洗浄した疑いがあると語る。そしてサイバー攻撃で得た資金が核・ミサイル開発に充てられているとみられる。3月の報告より金額が増えている。

takase.hatenablog.jp


 専門家パネルの活動停止で、今後、北朝鮮の不法かつ危険な活動に国連の監視が緩むのではないかと懸念されている。

・・・・・

 ロシア軍がウクライナ各地で攻撃を強めているハルキウへの空襲も激化。

 ゼレンスキー大統領は、パトリオット地対空ミサイルが2基あればと訴える。日本から米国にパトリオットが輸出されたことを先月のブログに書いたが、米国は他国から調達した武器弾薬を備蓄に回して、余裕のできた分をウクライナに渡すというカラクリだ。この2基もひょっとして日本からの2基の「玉突き」提供?・・・。

欧米からの武器支援の遅さにいら立つゼレンスキー大統領(NHKより)

 日本はすでにウクライナへの軍事支援に関わっていることを自覚しよう。

takase.hatenablog.jp


 アメリカからの軍事支援物資が前線に届くまで、ウクライナ軍が敵を食い止められるかどうか。

 ウクライナ軍は兵員不足に動員強化で臨むが、これに否定的な反応が多いという。一方で、無期限に軍務についている兵士の家族らは不満を募らせている。自分たちの夫や息子はいつ死ぬか分からぬ危険な任務についているのに、動員逃れも多いとは不公平だというのだ。負担は平等にしてほしいと。

 また、動員強化で働き盛りの男性を軍に取られれば、産業界にとっては大きな痛手になる。経済を回せなければ長期戦は戦えない。政府は難しいかじ取りを迫られている。

takase.hatenablog.jp


・・・・・・

 ミャンマーで民主派勢力と少数民族グループが軍事的に国軍に対して攻勢に出ている。どうやら形勢の逆転はほんもののようだ。

 去年10月末に少数民族武装勢力が民主派の国民統一政府(National Unity Government of Myanmar、NUG)の軍事部門PDF(国民防衛隊)とともに一斉に国軍を攻撃、国軍が総崩れになった。その後、民主派側の勢いは止まらず、全国55の行政区を解放したという。国軍からは1万3千人が離脱・脱走し、全体で2万人の兵力を失ったという。圧倒的な武力の差を士気の高さでひっくり返しているという。

徴兵を嫌って多くの若者が新たにPDFに加わってきたという(15日のクロ現より)

武装闘争を余儀なくされていると語る学生(クロ現より)

PDFの士気は高いという(報道特集18日より)

 国軍は兵員の不足を補おうと徴兵制を敷いたところが国軍に入るよりはPDFに加わって戦いたいと多くの新人が入隊、軍事的に強化されているという。

 先日『夜明けへの道』を新宿K‘sシネマで観てきた。ジャングルで潜伏しながら制作したセルフドキュメンタリー。人気絶頂の著名な映画監督、コ・パウ氏が小さな息子2人と妻をヤンゴンに残して武装闘争に飛び込んだ決死の思いと赤裸々に苦悩を告白する姿に心を揺さぶられた。

コ・パウ監督は軍に反対すると指名手配されジャングルに潜った。CDMは市民的不服従運動。(映画より)

解放区のコ・パウ監督(映画より)

 実はコ・パウ監督が解放区で作った映画が上映されるのはこれが2本目。1本目は『歩まなかった道』で、これは日本在住ミャンマー人コミュニティが支援して日本で上映。そこから世界に広がり、今では62都市で上映されている。映画上映の売り上げも日本が断トツで、ここ日本は民主派支援の重要な拠点だという。

映画上映後のトークでは上映を支援しているジャーナリストの北角祐樹さんが登場。北角さんはミャンマーで1ヵ月拘束された(筆者撮影)

上映後、映画館のロビーで解放区にいるコ・パウ監督にご挨拶した。こんなことができる時代になったのか。

 コ・パウ監督からのメッセージ「この映画の制作の動機は、私たちアーティストも独裁者の革命の中で、自らの人生、成功、家族全員の生活を代償に払ってきたことを知っていただきたいのです。この革命は大きな成果を上げています。最後まで進むべきだと感じています。もう後戻りはできないということを理解していただきたい」

 ミャンマー情勢はメディアで取り上げられることが少なくなったが、しっかり支援しなければと改めて思う。

来日した国民統一政府の教育・保健大臣ゾー・ウェー・ソー氏(クロ現より)

来日したカレン民族同盟議長、パドー・ソー・クウェ・トゥー・ウィン氏

 先日、民主派の幹部が来日したが、日本政府は何のアクションもとっていない。在日ミャンマー人たちは、日本政府がはっきりと国軍を批判することと民主派の国民統一政府を承認して協議することを望んでいる。