横田夫妻のトークライブ

takase222010-08-13

今週、日本テレビで参加無料のACTION!トークライブのシリーズがあった。
第二回目の10日(火)のテーマが「拉致を忘れない」で横田夫妻が登場した。
http://www.ntv.co.jp/action/talklive2010/#theme
当日は聴衆が150人くらいで、司会は日テレの美人キャスター、笛吹雅子さんだ。拉致被害者の家族の話は、何度聞いても、新たに感じるものがあり、発見がある。
前日にあったトークライブの一回目が「未解決事件〜真犯人と時効」で、冤罪で長期に獄中にあった菅家利和さんが招かれていた。
冒頭、滋さんはこれに触れた。
《きのうは冤罪の話だったが、拉致はもっと酷い。何も悪いことをしていないのに、連れていかれて、これをしろと言われれば、結婚も決められた人としなくてはならない。
無実なのに無期懲役北朝鮮にいるのと同じ。中東などで日本人が捕まると外務省は飛んでいくのに・・・。拉致は人権問題でもあるが国の主権にかかわる。
腹立たしい思いがする。政府はもっと努力して欲しい》
家族会会長という立場を離れたこともあるのか、滋さんは、最初から政府に対する批判を口にした。
滋さんは77歳、早紀江さんは74歳。1997年に家族会ができてもう13年、2002年の小泉訪朝から8年経つ。今も夫妻は日本全国を訴えて回っている。
《普通の問題なら個人でやれるが、拉致は政府、政治家にやってもらうしかない。政治家を動かすには国民の世論を高めるしかない。話をするということが私たちができる唯一のことなので、疲れたとか思わずに毎日のようにやっている》
2年ほど前に、日本のすべての都道府県に行ったそうで、講演会は《たぶん1200回か1300回》になるという。
今回知ったのだが、笛吹さんも小泉訪朝直後の家族らの記者会見にいたという。《周りの記者がメモを取りながら泣いていた》あの会見のエピソードは興味深かった。
政府は「5人生存8人死亡」を各々の家族を呼んで告げた。これは後に北朝鮮側が一方的に言っていることで、日本政府は何の確認もしていなかったことが判明するのだが、当初はまるで確定した事実のように受け止められた。
会見で泣いた滋さんは、《日銀勤めが長く、国が言うことに間違いないと思った。めぐみが生きていると思っていたのに対し、政府が公式の伝達で「死亡」というのでそれが違うとは思わなかった》という。
あの会見のときに、早紀江さんが発したことばは、歴史に残るものだ。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080506
あのときの思いを早紀江さんはこう語った。
北朝鮮は何してくるか分からないと思っていた。死亡と言われても、私はそんなこと信じませんから、と泣きながら(政府の人に)言って部屋から出た。
会見で、みんな泣き崩れて、かわいそうだった、終わったんだ、でいいのか。すごく怒っていた。めぐみちゃんたちは何のために生まれてきて、もし死んだとしても何のための時間だったのか。日本中の人たちに聞いて欲しいという思いがあった。どう言えばいいか分からなかった。とにかく、あの人たちの心を思いやってください、ものすごい大きな問題の足跡を明らかにしてくれた、そんなことをめちゃくちゃ言ったようです》
会場は若い人が多く、そこから「私たちは何ができるか」と質問が出た。早紀江さんはこう言った。
《「かわいそうねえ、親御さんもお歳なのに大変ね」で済ましてほしくない。外国が工作員を送ってきて、連れて行かれて、工作活動をやらされる。戦争放棄、核放棄をするところまで行っているのに、拉致された人は今も「帰して」と言っている。このことをしっかり見つめて欲しい》
拉致問題はこういう「大きな問題」を明らかにしたのである。