香港で一日の逮捕者が287人に

 あす11月15日は、横田めぐみさんが北朝鮮工作員に拉致された日だ。1977年のことだから42年になる。母早紀江さん(83)がきょう川崎市内で会見した。
 「42年というのは腹が立つほど長い時間。早く解決策がみつかることだけを願っている」と訴えたという。以下、新聞各紙より。

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 去年4月から入院中の父親の滋さんは今日が87歳の誕生日。早紀江さんは「本当なら大好きなお酒を飲み、明るい誕生日にしてあげたかった。食事も思うようにできず、会話も難しいが、めぐみと元気に再会するため、懸命にがんばっている」と語った。
 早紀江さんがめぐみさんの写真を見せて、「必ず帰ってくるから頑張りましょう」と話しかけると、滋さんは「頑張る」と口を動かすという。
 拉致被害者家族の高齢化に伴い、救出活動はめぐみさんの弟拓也さん(51)や哲也さん(51(51)らが引き継ぐようになった。早紀江さんは「2人とも頑張ってくれている」と述べる一方、「長い時間解決できないことがおかしい。(2人には)いつまでもこんなことを続けてほしくない」と胸の内を語った。――

 会話もままならない寝た切りの滋さん、拉致問題が進展しないことに焦りながら滋さんを介護する早紀江さん。二人の気持ちを思うと何と言っていいかわからない。
 そもそも被害者家族が運動の前面に出なければならないこと自体がおかしい。安倍首相は「内閣の最重要課題」と言いつづけながら何をしているのか。
 解決が見えないことについて早紀江さんは「国家の問題なので委ねるしかないが、求めているのは早く知恵を出し合って、本気になって取り返す行動を起こしてほしいということだけです」と話した。
 早紀江さんの目にも「国家の本気」が見えないのだろう。あらためて政府の猛省を促したい。
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 さて香港情勢。政府と市民との亀裂はこれまでで最も深刻になっているようだ。
 《香港の警察は、12日会見し、11日各地で行われた抗議活動に関連する逮捕者は、12歳から82歳までの男女合わせて287人に上ったことを明らかにしました。
 これはことし6月以降の一連の抗議活動で、1日に逮捕された人数としては最も多く、多くが警察への攻撃や違法な集会に参加した疑いなどが持たれています。
 また、逮捕者287人中、190人が大学生や、高校などに通う生徒だということです。》(NHK
 逮捕者の年齢が12歳から82歳までと非常に幅広い。黒づくめで「前線」に立つのは10代後半から20代前半の学生中心の若者たちだが、広範な市民がともに闘っていることがわかる。政府への信頼は地に落ちている。
 《香港のシンクタンク「香港民意研究所」は今月1日から8日までの間、市民1000人余りを対象に電話による世論調査を行い12日、その結果を発表しました。それによりますと、林鄭月娥行政長官の支持率は11%で、1997年の香港返還以降、歴代の行政長官の中で最も低い水準となっています。(略)支持率の低迷は市民の警察や政府への反発が続いていることを示しています。》(同上)
 香港政府や中国共産党はデモ参加者を「暴徒」と呼ぶが、市民の多くは非難の矛先を政府や警察に向けている。つまりデモ参加者は暴力を行使しても、市民からは単なる「暴徒」とは見られていないのである。ここは多くの日本人に知ってほしいところだ。

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香港中文大学は9月に取材で訪れた。11月12日夜、香港警察機動隊は大学に侵入し、2356発の催涙弾とゴム弾を学生たちに向けて発射した。少なくとも100人が負傷したという。あの緑豊かで静かなキャンパスが戦場のようになっている・・

 注目されるのは、今月24日に予定されている区議会議員選挙だが、香港情勢に詳しい倉田徹立教大教授は《「親中派からは選挙を延期すべきだという意見も根強いが、法的には14日間しか延期できない。仮に延期した場合でも“人為的な延期”と見なされ、世論の反発は避けられない」と述べ、香港政府は難しい判断を迫られるという見解を示しました。》(同上)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191112/k10012174641000.html
 これから24日にかけての動きに注目していきたい。