日朝正常化反対!

takase222008-07-12

近所にムクゲが見事に咲いていた。
これは韓国の国花で、無窮花(ムグンファ)と言うが、ムクゲはこの漢字の呉音読みだという。
日本人が桜のように命短くパッと散るのを美と感じるのに対して、朝鮮民族はながく生き延びる方を好むのだと知り合いの韓国人が言ったが、たしかにこの花はながく咲きつづける。
きのう、特定失踪者問題調査会主催の集会「国交正常化より北朝鮮と日本の正常化を!」に行った。
ジャーナリスト青木直人氏の講演「なぜそんなに国交正常化がしたいのか―国民の知らない利権構造の実態」聞いた後、三浦小太郎(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会代表)、加藤博(北朝鮮難民救援基金事務局長、)、増元照明(家族会事務局長)ら各氏の発言があった。
私は、総連を訴えた脱北者、千葉優美子さんも発言すると言うので、彼女の取材に行ったのだ。千葉さんについては、おいおい書くことにして、きょうは集会の話。
どれも興味深かったが、青木さんの話は勉強になった。とくに加藤紘一発言の解説が面白かった。
加藤紘一氏がテレビ番組で「拉致被害者を北に戻すべきだった」と発言して話題になっている。
自民党加藤紘一元幹事長は7日夜、日本BS放送の番組に出演し、2002年に北朝鮮から一時帰国した曽我ひとみさんら拉致被害者5人に関し、同国に戻さないとした当時の政府決定について「国家と国家の約束だから、(戻した方が)よかった。安倍(晋三前首相)さんを中心に返すべきでないとなったが、その辺が今、日朝の間で打開できない理由だと思う」と述べ、官房副長官として永住帰国への方針転換を主導した安倍氏の対応に問題があったとの認識を示した。
 加藤氏は「(戻していれば現状のようには)ならなかった。『また来てください』と何度も何度も(両国間を)交流していた。一回返すと平壌は殺してしまうんじゃないかと(言われたが)、そこが(安倍氏らとの)外交感覚の差だ。そんなことができるはずがない」と述べた。》(時事)
地村さんのおやじさんや蓮池さんの両親、救う会などから抗議を受けたのに対し、加藤氏は、真意が伝わっていないとして、発言全体をホームページに載せた。http://www.katokoichi.org/
しかし、これを読んだら、もっとひどい!
加藤氏とは同郷でもあり、食事会で同席して話をしたことがある。気さくで話のわかる人だなと好い印象を持っていた。私は外交路線で違った意見があって当然だと思うし、冷静に異論を検討するつもりでいる。だが、この発言には、さすがに怒りがわいてきた。
腹の中ではずっとこう思っていたが、これまでは世論が怖くて言えなかったのだろう。それが、今の米朝接近で、おおっぴらに言えるご時勢なのだなあとため息が出た。
青木さんによると加藤氏の発言は、彼が日中友好協会の会長に就任したことに関係があるという。
日中友好協会は3日、都内で総会と理事会を開き、新会長に自民党加藤紘一元幹事長を選任した。92年から会長を務めた日本画家の平山郁夫氏は名誉会長に退いた。加藤氏は記者団に「会長就任を名誉職としてでなく、日本の社会と政治の流れの中にしっかり位置づけられるようにしていきたい」と抱負を語った。》(産経ニュース)
小泉首相の登場で、金丸副総裁、橋本首相らの「経世会」が仕切ってきた日中、日朝の利権の構造が大きく崩れてきた。加藤氏が出てきた背景はそこにあるという。
たしかに、氏の会長就任には野中氏が反対している。
《総会では、同党の野中広務元幹事長が「加藤氏はまだ政治家として先があり、名誉職のような会長職に就任するのはいかがか」と異論を唱えたが、加藤氏の就任は満場一致で承認された。野中氏は協会の名誉顧問を務めていたが、「顧問は平山さんに頼まれたので就任した」として、平山氏の勇退を機に辞任した。》(産経ニュース)
日本・中国・北朝鮮の連携を強めようとしているのが加藤氏の動きだと青木さんは解説する。
青木さんは在野の中国研究家でありジャーナリストで、中国への日本のODAのでたらめぶりを暴露してブレイクした人だ。
アンタイド・ローン(ひもなし融資=貸付金の使途を限定せず、運用の監督もしない外貨借款)である日本のODAの危うさを、ブログでこうコメントしている。
《たとえば日朝正常化で行われる日本からの「経済支援」ですが、皆さんはこの「支援プロジェクト」の建設工事の受注業者を誰が決めるのか、知っていますか。あの金正日が、拉致を指令したあの男が、指名するのですよ。しかも候補地として再開発に名前の上がっている南浦港は拉致工作船に乗せられた田口八重子さんや増元るみ子さん、それに市川修一さんらが最初に上陸した港なのです。拉致の最高責任者が日本国民の血税の使い道を自由に決めることのできる「正常化」。》(青木さんのブログhttp://aoki.trycomp.com/2008/07/post-49.html
「国交正常化」は良い響きで(なにせ「正常」にするのだから)、善意の人、とくに自分は平和主義でリベラルだと思っている人ほど、支持したくなる。
では、ポルポト政権やナチスドイツ相手に巨額の援助を与えて仲良くしてもよいのか。こういう体制をお終いにするために尽力することこそ、真の平和主義でありリベラルなのではないか。
集会では、全員に白い団扇が配られた。それに思い思いのスローガンを書く。最後に全員が立ち上がって団扇を突き上げて「日朝正常化反対!」を叫んだ。びっくりするほど大きな叫び声だった。みな今の情勢に危機感を持っているのだ。
この集会については、三浦さんがネットで詳しく紹介している。http://hrnk.trycomp.net/index.php
私が団扇に書いたのは、表が「早く北朝鮮民主化しよう!」で裏が「北朝鮮に人権査察を!」だ。