持続可能な町は・・・2資源回収法

takase222008-07-11

夏といえば向日葵だ。
新大陸原産で、種がインディアンの食用になっていたが、ヨーロッパに伝わってからは、とりわけロシアで広まった。ロシア正教には毎年、油断ちの期間があるが、ヒマワリ油は禁止リストにないため、とても重宝がられたという。いわば戒律逃れの油脂食品だったわけだ。映画「ひまわり」には、旧ソ連の広大なひまわり畑(実際にどこで撮影されたかは知らないが)が登場するが、それにはこんな事情があった。《ひとくちメモ》みたいになったが、今もひまわり油の生産はロシアがダントツの一位だ。
ビールの空き缶はポイ捨てされる。よくテレビで、ボランティアが海岸や河川敷の空き缶やペットボトルを拾っていますというニュースが流れるが、日本でボランティア活動といえば、ほとんどは、こうしたごみ拾いである。
一方、ビールの瓶はごみにならない。酒屋に持っていくと5円で引き取ってくれるからだ。そして商品の流通と逆ルートをたどってビール会社に回収され、また洗って再利用される。これを缶ビールや缶ジュース、ペットボトルに適用したらどうだろう。空き缶をお店で5円で引き取ってくれるならみんな持って行く。もし誰かが道に捨てたとしても、ホームレスの人が喜んで拾う。これでもう、空き缶、ペットボトルはごみにならない。
この仕組みをすべての製品に適用する法律、「資源回収法」の制定でごみのない社会を作ろう。これは本書の提言の一つだ。
つまり、生産者に製品の回収を義務付け、これを守らないと生産できない決まりにするというものだ。提言は思いつきで出てきたものではない。著者が町長をつとめる徳島県上勝町の実践にもとづいている。
人口2千人と徳島県で最小の町は、2020年までにごみを出さなくする「ゼロ・ウェイスト」を宣言した。そしてごみを34種類にも分別し、80%のリサイクルに成功した。
上勝町のホームペジで、34分別のリストをちょっと見ていただきたい。http://www.kamikatsu.jp/zero-waste/frame.htm
でも一つの町だけではごみをゼロにできない。県や国そして世界のシステムを変えなくてはならない。そこで出てきた提言の一つが「資源回収法」制定である。
言われてみればなるほど、これこそ正しい道だと思う。
ひとりひとりがポイ捨てしないよう努力しろというのではなく、拾った人が得をする制度・仕組みを作るわけである。大賛成だ。ただ、実現するにはいろいろ考えたいこともある。この間、笠松さんに会ったとき、疑問に思ったことを尋ねた。
ここまで経済がグローバル化して身の回りに輸入品がたくさんある時代に、外国の生産者をどう規制すればよいのか?
議論するなかで、まず日本から生産者責任をはっきりさせ、それを守れない商品は輸入できなくするしかないという結論になった。日本が一つの方向性を宣言して進んで行くことで、世界を変えていくのだ。いいなあ。「日本発の世界変革」のアイディアにロマンを感じる。
自分がやらないで、アイディアだけ出す人は信用されない。でも上勝町は、自分のところでやれるギリギリまで追及してきた。その上での提言だから、説得力が違う。
資源回収法が実現したら、ボランティアたちはごみ拾いという非生産的なことではなく、介護や医療など、もっと社会が必要とする分野で活躍できるだろう。
この本には、これなら世の中を変えられるはずだ!と思わせる提言が満載だ。読んでいるうちに興奮してくる。
(つづく)