李明博が圧勝で韓国大統領に

韓国大統領選挙は、予想通り李明博(イミョンバク)の圧勝だった。ここまでの差がついたのは、ジャーナリストの池東旭(チドンオク)さんが言うように「敵失」だろう。ノムヒョン大統領の不人気は、「李候補の勢いを止める最良の方法は、ノムヒョン大統領が彼を支持すると発表すること」だという冗談があったほどだった。
李候補にとって、最後の関門は「BBK疑惑」だった。これは、ハンナラ党内のライバル朴槿恵(パククネ)前党代表側が予備選段階で問題にした疑惑で、BBKという投資会社代表のキム・ギョンジュン容疑者が、会社の資金と顧客の預託金計数百億ウォンを横領して米国に逃亡した事件が背景にある。キム容疑者は米国で逮捕され、大統領選の只中に韓国に送還されて注目を集めた。李候補が「BBKの実質的代表だ」とするキム容疑者の主張の真偽が争点となった。
今月5日、検察が李候補はシロの判断を下して大勢は決まった。だが、投票3日前に新たな材料が出てきた。
【ソウル16日聯合】「大統合民主新党は16日、ハンナラ党李明博候補が2000年10月に大学での講演会で、金融投資諮問会社のBBKを直接設立したという趣旨の発言をした事実があると指摘した。新党の共同選挙対策委員長らが緊急記者会見を開き、李候補の講演での肉声が入った動画CDを公開した。この動画は、ハンナラ党を脅迫した容疑で逮捕された容疑者から、無所属の李会昌(イフェチャン)候補側の弁護士と新党の鄭東泳(チョンドンヨン)候補側の議員らが入手したものと説明している。BBKの所有者問題は、株価操作事件に一連の疑惑で核心とされていた。」
映像を見ると、李明博が自分が「BBKを設立しました」とはっきり言っている。李明博がはたして検察が言うようにシロなのか、かなり疑わしい。今後、特別検察による再捜査があり、各紙は「波乱含みの門出」といった論調だ。
「経済大統領になる」というのが売りだが、大企業優遇の経済運営になるのだろう。保守というと、いつも「親米」で「新自由主義」になるのはなぜなのだろう。もうアメリカがモデルの時代ではないのに。
そして、対北朝鮮政策としては、これまでの融和策を大きく変えることはなさそうな雰囲気だ。アメリカと密接に連携するのが大事なので、昨年末からのブッシュ政権の「転換」に歩調を合わせるというのだ。いまアメリカは融和策に切り替えたから、これに引きずられて李明博陣営の姿勢も融和的になるはずだ。大きな期待を持つと裏切られそうな気がする。ただ、李明博の対北朝鮮政策が「曖昧だ」と批判する李会昌が出馬してから、李明博のそれが強硬に、つまり反融和的になっていった。これは「李会昌効果」とも言うべき現象だが、選挙で15%を取った李会昌が近く新保守党を作ることが今後どのような影響を与えるかが見ものだ。
いくつか気になる点がある。11月中旬から、北朝鮮李明博批判を控えたが、これは何らかの取引がなったか、または「パイプが通じた」からなのか。また、検察が李明博をシロ判定したのは、何らかの裏取引があったのか。観察しなければならないことがいろいろある。