サンプロで、ミャンマー事情の討論コーナーを見る。
出演は、山口洋一(元ミャンマー大使)、タンゼン・ウー(国民民主連盟[解放地域]日本支部議長)、田辺寿夫(フリージャーナリスト)。
ウー氏は、自宅軟禁中のティン・ウーNLD副議長の息子さんだという。ティン・ウー氏には十数年前にヤンゴンの自宅でインタビューした覚えがある。田辺氏は10月9日の日記に引用した本の著者で、研究者と言ってもよいミャンマー問題の専門家である。
仰天させられたのは山口氏の発言だった。
「日本と世界のメディアは、現政権側の言い分を伝えておらず、偏っている」
「民衆が自発的に立ち上がったのではなく、アメリカが扇動したものだ」
「僧衣を買って僧侶に化けた偽者が運動しているだけだ」
「現政権は経済発展に成功し、国民の支持を得ている」
「現政権が対話しようと言っているのに、スーチー女史が応じない」
口元に、民衆をバカにしたような冷笑さえ浮かんでいて、まさにヒールそのもの。
用事があって出かけようとしていたのだが、あまりの発言に、テレビの前から離れられなくなった。こういうむちゃくちゃな人を登場させてこそ、サンプロの面白さがある。
田辺氏は具体的な事実を挙げて説得力ある反論をしていた。ウーさんは日本語力のせいもあってか、あまり発言せず、途中からは反論を田辺さんにまかせていた。せっかくの当事者なのだから、彼が答えやすい質問を工夫できなかったかと惜しまれる。
終わり近くになって、ゲストで出ていた森本敏氏が、「日本政府の名誉のために言っておきますが、山口さんと日本政府の立場は違います」と発言した。きょう一番光った発言だった。山口氏の「元ミャンマー大使」という肩書きから、日本政府の考え方を代弁していると思って見ていた人がかなりいたはずだ。
ところで、テレビというのは、出演者の背景や人柄をも映し出すものだなあとつくづく感じる。『人は見た目が9割』などという本もあるけれど、どんなに立派なことをしゃべっていても、画面から胡散臭い香りを放つ人は信用できない。そういう意味では、テレビはごまかせないメディアである。
きょう出演した3人の顔を見比べて、テレビは怖いとあらためて思った次第である。