報道の自由度ランキングに異変!

ゆうべ夜中12時から「紙打ち」で、きょうの昼12時までかかった。紙打ちとは、編集前の原稿の打ち合わせのことで、ここでナレーションの文章を練りあげる。ディレクターはこの原稿をもとに、これから1週間ほど、連日半徹夜で編集作業に入ることになる。
こういう時間帯で仕事をしていると、夜会っても「おはようございます」という業界の挨拶も理解できる。
つい数日前、国境なき記者団の新たな報道の自由度ランキングが発表になり、異変が起きた。常連の北朝鮮に取って代わってエリトリアが最下位になったのだ。その理由を、記者団ではこう書いている。
専制的なアフォルキ大統領は、民間報道機関を消滅させた。体制を批判した数少ないジャーナリストは投獄された。うち4名が獄中で死亡したことが判明し、残りの人々も同じ運命をたどる恐れがある」(The privately-owned press has been banished by the authoritarian President Issaias Afeworki and the few journalists who dare to criticise the regime are thrown in prison. We know that four of them have died in detention and we have every reason to fear that others will suffer the same fate.)
最下位グループを並べるとこうだ。
163位中国
164位ビルマ
165位キューバ
166位イラン
167位トルクメニスタン
168位北朝鮮
169位エリトリア
この順位には大いに異論がある。
まず、現地で実際に取材したものとして、イランがこんなランクにされるのは納得できない。取材は実に自由で、いかなる監視もなかった。毎日数十紙の民間新聞が出され、政府批判もかなり自由だ。そもそも、かの国は中東では飛びぬけて高い民主主義を持っており、選挙では複数の政党が激しく争う。イランは100位くらい一気に上位にランクアップすべきだ。
キューバの位置にも首を傾げるが、何より、エリトリア北朝鮮よりひどいという判断が大いに疑問である。北朝鮮にはそもそも消滅させるべき「民間報道機関」がない。メディア(媒体)もなければ、体制批判するジャーナリストなどはじめからいないのである。批判的な思想を持っているとにらまれたら、政治犯収容所行きで、いったんそこに入るや「4人死亡」などという情報自体が外部に出てくることすらない。
ヨーロッパ人は、ナチス全体主義を経験したのに、それよりすさまじい北朝鮮全体主義をなぜ理解できないのだろうか。もっとたくさんの本が欧米の言語で出版され、ジャーナリストに勉強してもらいたいものだ。
ちなみに日本は、去年の51位から37位へと躍進したが、何か理由があるのだろうか?