関東大震災の虐殺100年によせて10

 ミュンヘンで開かれたモーターショーNHKの有馬嘉男ヨーロッパ総局長が取材していた。

 存在感を見せつけたのは中国メーカーで、EV売り上げ世界一のBYDはじめ、前回の倍をこえる75社が参加したという。

NHK国際報道より

 なかでも斬新なのが、バッテリーをいちいち充電するのではなく、充電されたバッテリーと交換する充電ステーションを展開するメーカー。有馬さんが車を床に設置された「交換台」の上に持ってくると、自動的に機械が車の下部のバッテリーケースのボルトを外してバッテーリーを交換してくれる。作業時間5分。これは便利だ。中国勢はドイツのEVより1万ユーロ(160万円)割安でEU市場を席巻する勢いだという。

乗ったまま5分でバッテリー交換(NHK

 迎え撃つBMWの幹部は「中国メーカーの強みはスピードでとにかく動きが速い。今後5年は競争が激化し、そこで勝負が決まるはずだ」と警戒する。この勢いに、欧州から中国車を締め出す政策が打ち出され、国際問題になってきた。

 欧州の自動車市場ではEVの伸びはすさまじく、スウェーデンが30%、オランダやデンマークが20%を超え、ノルウェーに至っては2022年の新車販売台数におけるEVの占める割合は約79.3%に達したこれに対して日本はわずか1%台

 完全にEV後進国となってしまった日本。家電やスマホ半導体の負け戦を追体験するのか。日本の自動車産業の今後の凋落が次第にはっきりしてきた。どういう産業を育てるかという戦略を欠落させた政治の責任だ。

takase.hatenablog.jp

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 朝日新聞12日の朝刊「素粒子」より—

関東大震災では中国人も多数虐殺された。出稼ぎ労働者らの信望厚かった留学生王希天も12日未明、日本軍の手で。

 政府は東京・大島(おおじま)町で軍や群衆が数百人を殺害した事件ともども「徹底的ニ隠蔽スルノ外ナシ」と決定。真相判明まで60年を超す歳月を要した。

 その体質はいまに受け継がれ、都知事が、官房長官が、国の恥の上塗りに精を出す。】

 関東大震災発生後、朝鮮人だけでなく中国人も数多く虐殺されていた

 9月6日、外務省への警視庁外事課長の報告によれば―
「9月3日大島町7丁目に於て鮮人放火嫌疑に関連して支那人朝鮮人300名乃至400名3回に亘り銃殺又は撲殺せられたり」

 東京府南葛飾郡大島町(おおじままち)=現在の江東区大島には、当時多くの労働者が住んでいた。その中には、中国から日本に来ていた中国人労働者らがおり、無差別に虐殺されている。

 殺されたなかに、王希天というキリスト教徒の留学生がいた。中華YMCAの幹事も務め、将来を嘱望される存在で、大島町に中国人労働者の生活と権利擁護のために「僑日共済会」を設立して活動していた。1919年の「五四運動」を受けて東京で行われたデモのリーダーでもあり、警察に「反日の巨頭」とマークされるようになる

王希天。惨殺されたのは27歳になったばかりのとき。

 9月9日、共済会の様子を見に大島へ行き、憲兵隊の臨時派出所に寄ったところ不審人物として拘束されるが、中国人を陸軍の習志野演習場へ護送する任務を行っていた野戦重砲兵第1連隊の遠藤三郎大尉の依頼を受け、11日まで護送業務に協力する。その後、解放されるが、改めて亀戸署に拘束される。中国人のリーダーである王を危険人物と認識していた同地の野戦重砲兵第3旅団が、この機に王を殺害することを企図し、警察から身柄を引き取った。9月12日未明、旧中川の逆井橋付近で野戦重砲兵第1連隊・垣内中尉が王を斬殺、死体は切り刻まれて中川に投棄された。

 権力による完全な狙い撃ちだった。

 中国人殺害は外交問題になるため、山本権兵衛内閣は「徹底的に隠蔽」を政府方針とした。しかし、帰国した留学生、王兆澄らによって調査が行われ、750名以上の犠牲者が判明する。

 1924年2月、中華民国は正式に日本政府に照会。5月に日本政府は賠償金20万円を決定し交渉に応じたが、その後、中国国内の混乱に乗した列強のせめぎ合い等の状況下、交渉は再開されず、うやむやになっていた。

 2014年9月8日、302名の被害者遺族が署名して、日本政府に要望書を提出した。なんと事件から90年である。

 そこには日本国家としての遺族への謝罪、賠償、記念碑と記念館の設置、日本の若い世代への教育が挙げられている。毎年、回答を求めて督促しているが、日本政府は一貫して「記録見当たらず」と責任回避の回答を続けている

 今年の5月23日、杉尾秀哉議員(立憲民主党が国会内閣委員会で質問したが、警視庁楠官房長「政府として調査した限り、事実関係を把握できる記録は見当たらず、仮に指摘の資料を確認しても、内容を評価することは困難」とまったく無責任な答弁を行った。

 さらに杉尾議員の再調査要求に対して、国家公安委員長「さらなる再調査は考えていない」と答弁している。

 事件は100年たっても全然終っていない。

 政府の不誠実極まりない姿勢に、日本人であることが恥ずかしくなる。なんとかしなければ。