米国の政治にも食い込んでいた統一教会

 きょうもまた「命にかかわる危険な暑さ」!だった。

 こんな猛暑でも、世の中は目をそむけたくなる出来事が絶えない。ウクライナの悲惨なニュースなど、テレビを観るだけでつらくなる。

ウクライナではロシア兵による戦争犯罪が次々に明らかになっている(NHKニュースより)

 「共感疲労」という言葉がある。
 介護スタッフなどによく見られるという。相手への共感が過ぎて疲弊してしまい「燃え尽き症候群」に陥ったりする。

 さらに「共感うつ」というのも。共感性がとても高い人の場合、いろいろな出来事に大きく感情を揺り動かされ、心身の調子を崩して「うつ」状態になる。

 「うつ」の原因には三つあると言わる。自分を責める「自己非難」、自分自身をあわれむ「自己憐憫」、そして他人をあわれむ「他者憐憫」だ。

 自分と関係ないことには一切興味を示さない人ばかりでも困るが、共感も度が過ぎれば自らが病んでしう。近年、「HTP(Highly Sensitive Person 繊細過ぎる人)と呼ばれる気質の人の存在が指摘されている。一説には5人に1人の割合だとか。ものごとを強く感じすぎて生きるのが大変だという。 

 理不尽さであふれるこの世の中を、どんな心構えで生きればよいのか。

 他人の不幸を「自分事」としてとらえる――これは正論で、健全な市民社会に求められる態度だ。ただそこから、真面目な人ほど、「他人の不幸には共感すべきであり、共感して心が乱れるべきである」という思い込みをしてしまいがちだ。

 しかし、不幸な人を見たり、悲惨な出来事を知ったときにすべきことは、その不幸や悲惨を無くすか軽減するための行動であって、共感しすぎて心が乱れ、自分も不幸になることではないはずだ。

 では「行動」という場合、具体的にはどんなことをすればよいのか。
(つづく)
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 先週のTBS『報道特集』の統一教会特集は、金平キャスターの米国取材もあり、見ごたえがあった。

 まず、独自に入手したという日本人信者の献金額資料はスクープだろう。

 毎年600億円内外、2007年など750億円にも達している。この巨額に驚く。
それが09年の「コンプライアンス宣言」のあとも10年575億円、11年594億円と600億円近い献金額のままだ。

TD感謝献金

HK(返金) TBS報道特集30日OAより

 また、TD(Thanks Donation=感謝献金)という日本から韓国への送金は、年間200億円以上で「宣言」後も金額が変わらず、HK(返金)という裁判などトラブルになって教会側から返金した金額も20億円以上を保っている。先月の統一教会の会見で強調した「宣言」で事態が改善されていなかったことを示す。

 金平キャスターが米国でインタビューしたのは、60~70年代に米国の統一教会の政治部門の幹部、アレン・ウッド氏。彼の証言はリアルで衝撃的だった。

アレン・ウッド氏(TBS報道特集より)

文鮮明氏らは権力者たちを支配しようとしていた。信者に『組織が世界を牛耳っている』と信じ込ませるため、そのために権力者たちのビデオを作成し若者に見せる。」

 70年に武道館で開かれた「国際勝共連合」世界大会ではウッド氏が司会をつとめていた。そこには右翼の大物、笹川良一も登壇したが、
彼(笹川氏)は胸を叩きながら『私は文(鮮明)氏の犬だ』と言った。日本で最強の人物が自分を文氏の下に位置づけた。あのとき『我々は世界を支配できる』と思った」とウッド氏は語る。

国際勝共連合世界大会

司会のウッド氏

笹川良一


 ウッド氏はその後、統一教会を離れ、米議会の公聴会統一教会の危険な正体を証言している。

 番組が紹介した、安倍元総理の祖父、岸信介氏が1984年にレーガン大統領に出した手紙は、統一教会が政治家にきわめて強い影響力をもっていたことを示す。

岸信介氏は1982年の合同結婚式に祝辞を寄せていた。「私が文鮮明先生を心より尊敬する」とも。レーガン大統領への手紙はその2年後。

岸氏からレーガン大統領にあてた文氏救済を要請する手紙(TBS)

文(鮮明)尊師は現在不当に収監されています。あなたのご協力のもと、何としてでも、一刻も早く、彼が不当な収監から解放されるよう、お願いいたします。」

文鮮明氏は服役中だった

 当時、文鮮明氏は米国で脱税の罪で服役中だった。岸氏は文氏の超法規的な解放をレーガン大統領に求めていたのである。

 手紙では「文尊師は、自由の思想を掲げ、共産主義の誤りを正すことに人生をかけている、誠実な男だと私は理解しております。彼の存在は、現在も将来も自由と民主主義の維持にとって貴重で不可欠です」とまで文氏を褒めたたえている。

 結局、文鮮明氏が解放されることはなかったが、94年に来日した際には当時の自民党総裁金丸信氏が尽力したとされる。

 ウッド氏によれば統一教会は米国の政治にも入り込んでいたという。

 70年代、反共産主義を掲げることで米国政治に強い影響力をもった。レーガン大統領は統一教会系新聞である『ワシントン・タイムズ』を見せながら、「私が読んでいる新聞がこれだけだ」と宣伝することまでやった。共和党の政治家を採り込むという点では大いに成功したという。

 トランプ氏を含めて共和党の大統領たちはみな「統一教会の大々的な支援を受けた。信者が資金集めをし、全米各地で戸別訪問をして支持を広げた。ブッシュが統一教会の信者らがいなければ選挙での勝利はなかったと発言していた。」とウッド氏はいう。

 また、大物政治家が統一教会のイベントに出席したりメッセージを送ったりする際に多額の報酬が支払われたという。

ブッシュが大統領の任期を終えて韓国に講演に行ったときは、1回のスピーチにつき100万ドルを支払った。レーガンにも1回100万ドルを支払った。

 こうしたお金も信者らの献身的な、場合によっては犯罪的な努力で集められたものだ。

日本の資金集めこそが組織を発展させてくれたと語る韓国の現役幹部(報道特集より)

(文氏は)『イデオロギーで心を掴めなければ、金で買収する』。(旧統一教会は宗教団体ではなく)政治団体であり、そのゴールは権力を握ること。文氏は言った『今は自分にあらがう人も多いが、将来は自分の言葉がほとんど法律のようになるだろう』と」(ウッド氏)

 アメリカ取材部分は以下のサイトの「見逃し配信」で観られます。

「我々は世界を支配できると思った」米・統一教会の元幹部が語った"選挙協力"と"高額報酬"の実態【報道特集】 | TBS NEWS DIG (1ページ)


(つづく)