あたたかい春分の日だ。春分は、自然をたたえ、生き物を愛しむ日とされている。
初候「雀始巣」(すずめ、はじめてすくう)が20日から。
次候「桜始開」(さくら、はじめてさく)が25日から。
末候「雷乃発声」(かみなり、すなわちこえをはっす)が30日から。
東京ではすでに昨年とならぶ史上最速の14日に開花宣言があった。そろそろ満開だ。
きょうは買い出しに立川へ出かけた。
「グリーン・スプリングス」という新しいショッピングモールにはじめて行った。
外にステージやパブリックスクウェア、ビオトープまであるしゃれたつくりで、コンセプトは「ウェルビーイングタウン」だそうだ。カタカナ語でよくわからないが、ビオトープの植物の種類は、その辺の公園とはちょっと違っている。
黄色い花を咲かせているのはミツマタ。旬の花である。
そこにキャーという子どもの悲鳴。
恐竜が現れた。
動作がとてもリアルで、尻尾の先まで恐竜独特の動きのリズムだ。中に入っている人間がコントロールしているのではなさそうだ。
口を大きく開けてガオー!と吠えると大人でもドキッとする。パニックになって泣きだす子どもがいた。
特殊な恐竜のメカニカルスーツを開発した会社の企画だった。全国でこういうライブショーをやっているという。
恐竜は今も子どもに大人気だ。私も宇宙史の講座をやっている関係で、恐竜についてはそれなりに勉強しているが、とてもおもしろいし、進化とは何かを考えさせられる。
恐竜の研究はここ20年ほどで急速な進展を見せ、我々が子ども時代に教わったイメージ(例えば、体は巨大で動きはのろく、変温動物なので寒さに弱く、知能が低い)が大きく塗り替えられている。
恐竜は中生代に登場した「二足歩行する爬虫類」だ。直立歩行に適した骨格を持っている点はヒトと同じだ。運動能力は高く、なかには60~70キロ/時ものスピードで走るものもいたという。
なお、人気恐竜の一つ、トリケラトプスなどは四本足で歩くが、これら草食恐竜は、二足歩行から四足歩行に移行したものだ。
呼吸システムも優れており、「気嚢」(きのう)という器官によってきわめて効率的に肺から酸素を取り入れることができた。体を大きくすることが可能だったのはそのおかげだという。この気嚢システムは鳥類に受け継がれた。
近年の研究で、鳥は恐竜から進化したことが広く認められるようになり、いまや「恐竜は白亜紀末の6600万年前に突然絶滅した」とは言えなくなっている。鳥類は今も繁栄しているからだ。
また、羽毛を持つ恐竜が多数いたことも明らかになった。1996年、中国でシノサウロプテリクスという恐竜(獣脚類)の化石が発見されたが、腕や体に羽毛があった。この後、羽毛恐竜は続々と発見され、さらに羽毛から色の分析もできるようになった。
北極圏でも次々に化石が出て、なかには鮮やかな色の羽毛をまとった恐竜もいたことがわかった。恒温動物の恐竜は極寒の地にも進出していた。
さらに、抱卵し子育てをする恐竜が見つかったことは、「家族」が成立していたことを示す。高度な集団生活を送る恐竜までいたらしい。例えば、狩りをする場合に、獲物を追う「勢子」役のグループと待ち伏せ役のグループに役割分担するなどの組織的な連携もありえたという。
恐竜の中には、脳の容積が大きく、非常に知能が発達していたものもいたとされ、もし、白亜紀末のいわゆる「絶滅」イベント(厳密には恐竜は絶滅しなかったのだが)がなかったら、二足歩行する恐竜の子孫が現在の我々ヒトの地位についたかもしれないと考える研究者もいる。
人類が尻尾をなくしたように、その恐竜の子孫は尻尾が退化し、二本足で立つ、ちょっと鳥のような顔をした知的な動物になったかもしれない。そして哺乳類を家畜にして、農耕もはじめただろう。
この「絶滅」イベントでは地球上の生物種の最大75%が絶滅、哺乳類の時代が幕を開けるのだが、少なくともその大きな原因の一つは、メキシコのユカタン半島北東部に小惑星が衝突したことだった。
天体衝突というきわめて偶然的な出来事が、地球の生命史を大きく変え、生物界の「主役」交代の結果、哺乳類の大繁栄からわれわれ人類の誕生にまでつながってくることを思うと、不思議な気持ちになる。
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先日、茨城県牛久の入管施設で、糞便を撒き散らして刑事罰に問われたイラン人、ヤドラさんの裁判について書いたが、その判決がきのう水戸地裁土浦支部で言い渡された。
判決は「懲役10月、未決勾留60日を算入」で実質8ヵ月だった。もしヤドラさんが控訴しなければ、12月まで刑務所で服役することになる。
ブログの読者で心配されている方もいると思い、ここでお知らせします。