入管の無期限収容を生んだのは「東京五輪」対策だった

 近所に戦争跡を訪ねる。
 きょう自転車で行ったのは、立川市山中坂地蔵堂

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山中坂(立川市

 戦争中、ここで多くの子どもたちが亡くなった。
 碑文がある。
 「太平洋戦争の末期、立川は1945年2月16日から8月2日までの間、少なくとも13回の爆撃を受け、330余名が犠牲となった。

 ここ山中坂にあった横穴式防空壕は、4月4日末期、B29が投下した爆弾が直撃し、中に避難していた子どもたち32名をふくむ42名が死亡した」(碑文:1995年4月2日)

 3月10日の東京大空襲の1ヵ月たらず後のことだ。多摩地区も空襲で大きな被害を受けたのだった。

 合掌。

 そのすぐそばに真っ赤な花の群生が。

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 クサボケらしい。日本に自生する野生種だそうだ。夕陽に映えてあざやかだ。

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 東京その他で新規感染者が増加に転じたいま、政府が21日で「緊急事態宣言」を解除するとの発表

 新聞に、《「宣言疲れ」限界 解除へ》との見出し。感染が減ってコントロールできるようになったから解除するのではない。

 首相が2週間延長のときに「見極めの期間」と言った通り、無策のまま成り行きを見ていただけだった。SNSで「棒立ちの政府」という表現をみたが、言い得て妙だ。「棒立ち」で打たれっぱなしからクリンチにでたか・・。
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 高世仁のニュース・パンフォーカスNo.13「足元にいる「難民」にも目を向けよう(その3)」をきょう公開したので、お知らせします。

 東京入管でコロナ感染64人のクラスター発生。国連からも批判された入管の収容制度はなぜ行われるようになったのか、また、どう改善すればいいのか。
 劣悪な条件での長期収容の背景には東京五輪にむけての治安対策があった・・・。

www.tsunagi-media.jp

 一部を引用します。

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 クラスター発生を受け、関東弁護士会連合会はあらためて被収容者の解放を求める理事長声明を出しましたが、その中で「この集団感染の背景にはそもそも国際法違反の無期限収容が存在する」と指摘しています。

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収容期間の内訳(「難民支援協会」作成)


 収容期間の内訳をみると、収容が長期化する傾向がはっきりわかります。かつてはほとんどが収容は長くても半年以内でした。それが数年前から、半年以上の長期収容が過半数を占めるようになり、なかには4年、5年と異常な長さの収容が続く人も出てきました。

 その背景として指摘されているのが、東京オリンピックパラリンピックに向けての治安対策です。

 2016年4月、全国の入管に「安全・安心な社会の実現のための取組について」と題する内部通知が回されました。通知は2020年に予定されていた東京五輪に触れつつ、こう記しています。

 「安全・安心な社会の実現のためには」、「近年増加傾向にある不法残留者及び偽装滞在者(以下「不法滞在者等」という)のほか、退去強制令書が発付されても送還を忌避する外国人(以下「送還忌避者」という)など我が国社会に不安を与える外国人を大幅に縮減することは」、「当局にとっての喫緊の課題となっています。」(下線は筆者)

 「不法滞在者」とともに「送還忌避者」が、「我が国社会に不安を与える外国人」とされ、東京五輪までに「大幅に縮減する」べき対象になっています。

 この治安対策が、入管が退去強制を進め、「送還を忌避する外国人」を収容し、仮放免(一時的に解放する措置)を厳しく制限して社会に出さないようになった大きな要因とみられているのです。

 

 では、なぜ送還を忌避する外国人がいるのか、もう一度おさらいしましょう。
 入管施設に収容されているのは、日本に在留する資格を持っていなかったり、資格外の就労などの活動をしたために「退去強制」の対象とされた外国人とされています。

 実際は、ほとんどが「退去強制」を命じられたらすぐに日本から出て帰国します。「強制」といいながら、95%は自費で出国しています。

 「退去」せずに苦しい収容に耐えているのは、帰国できない理由がある人たちです。例えば母国が独裁政権下で迫害を受ける可能性があり難民申請をしている人や、日本人と結婚して家族ができ日本に生活基盤がある人などです。現在、入管施設に収容されている人の3分の2は難民認定の申請者です。

 長期収容者たちを支援する弁護士やNPOは、入管は収容制度を懲罰的に使って「送還忌避者」が「自主的に」出国するように仕向けていると批判しています。長期に収容することで「出国忌避者」が心身ともに疲れ果て、経済的にも生活が困難になり、自ら出国するしかない状況に追い込んでいると。自費で出国してくれるなら、国の懐も痛まずに厄介払いできるというわけです。

 こうした帰るに帰れない人びとは「我が国社会に不安を与える」存在なのでしょうか。

 犯罪人でもないのに、家族や友人と引き離し、刑務所よりひどい環境に期限を定めずに拘束してよいのでしょうか。ある人を収容するかどうか、仮放免するかどうかを裁判所ではなく一行政機関である入管の裁量で決めてよいのでしょうか。

(以下略)

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 長期収容を改善するとのふれこみで、政府はいま入管法改正案を国会に提案している。だが、これによると、難民申請を2回までに限るとにしている。

 日本の難民認定率が異常に低いという事情があるから、何度も繰り返し申請をするのである。難民申請に制限を加えることで収容期間を短縮するというのは本末転倒である。

 これはつぶさなければ。