伊藤詩織さん「世界の100人」に選出・・菅新総理は何思う?

 米誌タイムは22日、毎年恒例の「世界で最も影響力のある100人」を発表、日本から女子テニスの大坂なおみ選手と、自らの性暴力被害を公表したジャーナリスト、伊藤詩織さんを選んだ
 大坂選手については、全米オープンテニスの場で人種差別に抗議、スポーツの領域を超えた存在感を示したことを紹介。伊藤さんについては「勇気ある告発」で日本人女性の在り方を大きく変えたと評価した。(共同)

 大坂なおみ選手は2019年につづいて選出は2年連続。

 伊藤詩織さんは選出を受け、東京都内で記者会見した。

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きょう会見した伊藤詩織さん(東京新聞より)

 《伊藤さんはこの日、検察当局が準強姦容疑の事件を不起訴処分にした時につづった日記を4年ぶりに読み返した。そこには「大きな声(権力者)に耳を傾けるやつ(加害者)に勝つには、(私がジャーナリストとして目指したように)小さな声に耳を傾けることだ。『(心だけでなく肉体まで)全部殺してくれればよかった』なんて考えちゃだめ。私には声がある」と、強い決意が記してあった。
 「私は隠されるべきでなく、堂々と生きていい。今回、声を上げた人として名前を挙げてもらえたのはすごく名誉なことだった」と喜んだ。》(望月衣塑子記者 東京新聞

 伊藤さんは2017年、記者会見を開いて、元TBS記者の山口敬之氏から性行為を強要されたと訴えた。事件は不起訴となったが、伊藤さんは山口氏を相手に慰謝料などを求めて民事裁判を起こし、2019年12月の一審・東京地裁で勝訴。東京地裁の判決では、「合意のないまま本件行為に及んだ事実」などが認められるとして、不法行為が認定されている

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time.com

 彼女ら二人が選ばれたことは日本人にとっても喜ばしく、また誇らしいことだが、この選出、とくに伊藤さんが選ばれたことを菅新総理はどう受け止めるだろうか

 というのは、安倍内閣御用達ジャーナリスト、山口敬之氏の性暴力事件が不起訴になって握りつぶされ、山口氏に救援の手が差し伸べられたことに官邸そして菅氏が深くかかわっていたといわれるからだ。

 2015年4月、性暴力の加害者である山口氏を逮捕すべく待機していた高輪署に逮捕中止を命令したのが、安倍官邸の「忠犬」と言われた当時警視庁刑事部長の中村格氏。中村氏はその後とんとん拍子に出世。今年はじめには警察庁次長になり、次期警察庁長官の座を確実にしている

 先週発売の9月24日号『週刊文春』特集「菅義偉『親密企業』が469億GoToイート受注」では菅総理と山口敬之氏の特別な「関係」が示唆されている。

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 特集によると「GoToイート」のオンライン部門の委託費を獲得する13社のうちもっとも高額になるとみられるのが、レストラン予約サイトを運営する売上高300億円超のぐるなびだという。
 このぐるなび」創業者の滝久雄会長は菅氏が初当選を果たした1996年以来の支援者で深い関係。滝氏は広告代理店「NKB」の会長でもあるが、このNKBの小会社が山口敬之氏の経済的な面倒を見ていた。それを依頼したのが菅氏だったというのだ。

 「菅氏が困った時に頼るのが滝氏、安倍政権に近いことで知られた元TBSの山口敬之氏が16年5月に会社を辞めた際も、菅氏が滝氏に、山口氏への経済的支援を依頼したと言われています。実際にNKBの子会社が、山口氏と顧問委託契約を締結したとされる。性的暴行を巡って山口氏が争っている民事訴訟で提出した資料によれば、契約は1年間で、顧問料は月40万円でした」(社会部記者)
 『週刊文春』の取材に対し、NHK子会社は「顧問契約については開示していないが全て適法な内容で手続きしている」、山口氏代理人は「お答えは差し控える」と回答したという。

 19日のTBS「報道特集」で、田中真紀子衆院議員が、菅内閣を評して「(変化は)全然ないでしょう。安倍さんの継承だとご本人もはっきりおっしゃってる」と言ったあと、つづけて、
 「(私は菅氏を)『生ごみのバケツの蓋だ』と言った。バケツの中は森友とかその他いっぱい。安倍さんのおうちから出る生ごみ、その蓋」とのたまって、えげつなくも鋭い比喩に思わず噴き出してしまった。

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TBS「報道特集」より

 この謂では、山口敬之氏のスキャンダルも安倍家の「生ごみ」。山口氏を助け、ごみが匂わぬよう立ち回った菅氏に聞きたいものだ。
 伊藤詩織さんが「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたことをどう思いますか、と。