人間中村哲をつくったもの5

 イチョウの葉が色づき、風が吹くたびに舞って落ちてくる。

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御茶ノ水駅近くの本郷通り

 明日は冬至。最も日が短い日となる。カボチャを買ってきた。
 22日からの初候が「乃東生」(なつかれくさ、しょうず)。ウツボグサが芽を出すころ。27日からが次候「麋角解」(さわしかのつの、おつる)。ヘラジカの角が生え替わるころ。元日1月1日から末候「雪下出麦」(ゆきわたりて、 むぎのびる)。雪の下で麦が芽を出すころ、という意味だ。
 今年は厳しい年だった。それだけに人から受けた親切や配慮が身に染みる。すべてのことに感謝。
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 18日、伊藤詩織さんが、元TBSワシントン支局長で安倍首相ヨイショ記者と呼ばれる山口敬之氏から性的暴行を受けたとして、山口氏に1100万円の損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は「(山口氏が)酩酊状態で意識のない伊藤詩織さんに合意がないまま性行為をした」と認め、山口氏に慰謝料など330万円の支払いを命じた。

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勝訴した伊藤詩織さん(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18196より)

 忘れてならないのは、山口氏への逮捕状が出ていたのに、菅官房長官の秘書官もつとめた中村格刑事部長(当時)が逮捕状執行を直前に取り消したこと。つまり上からの尋常ではない介入があったから山口氏は逮捕されなかった。中村格氏はその後、警察庁長官官房長に出世している。逮捕状が執行されなかった事情はいまだ未解明だ。この問題で、安倍首相応援団が詩織さん攻撃にまわるのは、事件処理に「政治」が深く関わっていることを示す。
 おぞましい映像がある。英国BBCが放送した、詩織さんを「枕営業大失敗」などと嘲笑し、自民党杉田水脈衆院議員が女性に落ち度がある、詩織さんは嘘を言っているとコメントしている。恥というものがないのか。
https://twitter.com/shin919infinity/status/1014829191320072194
 事件の真相解明を強く求める。
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  (今回から連載タイトルを「人間中村哲をつくったもの」にしました)
 中村哲先生の父、中村勉は、1932年(昭和7年)に治安維持法違反で逮捕された。福岡県下で200人近くが検挙された「2.24事件」である。
 中村勉と同じ「全協金属若松支部」で活動し逮捕された永松清作は、2000年に『不屈』という雑誌に、「先輩中村勉さんのこと」という文章を書いている。以下、一部を紹介する。

 《中村勉さんは福商大正13年卒(21回)で私より4年先輩。高等小学校卒業と同時に若松築港会社の給仕となり、その英才を電力業界の鬼と呼ばれた松永安左衛門さんに認められ、給費生として福岡商業学校に入学、5年生にして福岡地方に名を馳せた詩の雑誌の編集発行人となって幾多の文化人と交流、一学期から学籍はそのままにして学友青柳喜兵衛の後を追って早稲田大学の入学するなど鬼才縦横、柔道も有段の腕前、兵役をすませた昭和2年若松市会議員選挙に立候補するなど野心満々。そんな中で葦平ら文学青年との交流を深め、葦平の妹秀子さんと結婚している。
 一方では八幡の玉谷留夫(3.15検挙)から無産者新聞の配布を受け、若松に消費組合の設立を目論むなど左翼運動にも力を入れはじめていた。そんな関係から若松の全協運動では、中央オルグ山田竹次郎氏の連絡を受け、(略)運動の指導的立場にいた。》
 やはり左翼運動の幹部だったようだ。もともと文武両道で、市議会にも立候補するほど政治意識の高い、才能あふれる人物だった。彼が玉井家の長男、葦平(作家の火野葦平)と親しくなったことから葦平の妹の秀子を紹介され結婚している。
 そして、中村勉が火野葦平と知り合うのも左翼運動が縁だった。
(つづく)