周庭さん香港の闘いを語る3~香港の良さを守りたい

 ゆうべは雲に隠れて見えなかった中秋の名月。今夜はくっきりと美しい。
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 5歳児の1日の唾液生産量をユニークな実験により500mlと推定した日本人がイグ・ノーベル賞を受賞した。こういうニュースはうれしい。

 《人々を笑わせ、考えさせた研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が12日(日本時間13日)、米ハーバード大であった。自身の息子の協力も得て、子どもの唾液の量を推定した明海大(千葉県浦安市)の渡部(わたなべ)茂教授(68)が化学賞に選ばれた。日本人の受賞は13年連続。》(朝日新聞

 その一方で・・
 《日本の大学の理系論文数が、政府による研究予算の抑制や競争原理拡大と軌を一にして2000年ごろから伸びが止まり、20年近く頭打ちの状態になっていることが分かった。世界では米国や中国の論文数が飛躍的に伸びており、質の高い論文数を示す国別世界ランキングで日本は00年の4位から16年は11位に低下。研究活性化策として導入した競争原理の拡大が奏功しなかった形で、政策に疑問の声も出ている。》東京新聞8日)

 日本のノーベル賞受賞者たちも、政府の学術政策が日本の研究機関や研究者をだめにしているとこぞって非難している。、科学研究の分野での日本の凋落はなんとか食い止めたい。
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 きのう紹介した部分では、周庭さんは「デモが暴力的になったことには警察と政府が責任がある」と語っていたが、それはどういうことか。

 

Q:周庭さんは、いろいろ弁護士と相談したと思いますけど、どういう風に生きていきますか?

 そうですね、すごい難しい質問がきてましたけど。私はもちろんこの運動に参加していきますし、5つの要求を私たち、私にとってもすごく重要だと思いますね。
例えば他の国、日本だったら政治に興味があったら立候補するとか色んな方法があるかもしれませんけど、私は去年立候補しようとしていたんですけれども、立候補の資格まで取り消されましたので政府に。だから今はこの香港の政治システムの中にも、私も政治参加ができる方法がもう残っていないくらいなりましたので、だからやっぱりこれからも街で香港の、私たち香港人の未来、香港の民主主義のために戦っていきたいと思います。

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催涙弾や放水よけの傘をさしながら政府本庁舎ににじり寄る若者たち

Q:集会に参加した人から聞いたんですけど、こういう運動が起きて自分がやっぱり香港人だと非常に強く意識して、自分の故郷というか「私の香港」っていう意識が強くなったと。

 はい。香港人というアイデンティティは、私にとってすごく重要だと思います。今回の運動の中にも、いろんな例えば香港人がんばれみたいなスローガンもみんな叫んでいましたし、やっぱり香港人だから、私たち香港人としての誇りを持っていますから、香港はこれからもっと良い場所になるために今一生懸命戦っていると思いますね。


Q:香港人だなって自覚は、闘ってから出てきましたか?

 そうですね、特にいろんなデモや集会の現場に行って参加してたくさんの香港人の暖かい雰囲気とか暖かい香港人たくさん会いましたので、だからやっぱりみんな同じく香港人だから、ちゃんと自分の家を守りたいという気持ちがますます強くなりました。

Q:その「自分の家」というのは、中国が入ってくると変わっちゃうってこと?
 そうですね、中国が入ってくると変わっちゃうというよりは、もともと「一国二制度」という約束がありますので。今逆に中国政府はこの約束を守っていない、そして中国はもともと民主社会ではない。法治社会とも言えないので、だから中国が香港へのコントロールが強まっていくと、香港のもともとの良さ、いわゆる自由と公平な法律制度とか安全とか全部なくなると思いますね。

 

Q:香港の良さっていうのを、だんだんみんな自覚してきている?
 そうですね、もともと香港は国際金融都市として世界中にすごく有名なんですけど、この国際金融都市なのに民主主義のないというのもそもそもおかしいかなと思いますね。

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ごく普通の女子大生の一面も(彼女のインスタグラムより)

Q:逮捕されて保釈されたとき、やっぱり怖いって気持はお持ちなんじゃないかなって、勝手に想像したんですけど?
 そうですね、「雨傘運動」の時に逮捕されることは怖いなとか、収監されることは怖いなとか、考えたことはありましたけど、今は逆に逮捕されることに対しても、収監されることに対してもあんまり怖くないです。
 私にとって、そしてたくさんのデモに参加している人にとって一番怖いというのは、殺されることですね。だから今警察の暴力もエスカレートしていて、銃も脚に向けるでなく頭に向けて銃を使うことになりましたので、目を失った子もいましたし、だからいつか命が失ったんじゃないかなとか、そういう恐怖が確かにありますね。
 そしてまあ私は逮捕されたときは大丈夫だったんですけども、たくさんのデモ隊の人たちが逮捕されてから、例えば警察署で、そして警察の車の中に警察にそういう暴力的な対応をされたり、あとセクハラされたり、そういうことがありましたので、やっぱりそうですね、恐怖感があります。でもそういう恐怖感がますます強まっているからこそ私たちは戦わないといけないと思いますね。

Q:香港ではすでに何人の若い人が自ら命を絶ったそうですが、それを知ったときに、どういう気持ちだったんですか?。
 そうですね、悲しいですね。6月からも少なくとも6人の仲間たちが自殺という方法で命を失ったんですけれども、なぜ香港はこんなに絶望的な場所になったのかって香港人としてはすごく悲しいです。

Q:命を絶った、自殺をした人たちの気持ち、どうして彼らは自殺したのか
 そうですね、やっぱりすごく絶望だったんじゃないかなと思います。香港政府はなかなか私たち香港人の意見を聞かないし、どんだけ頑張っても。キャリーラムも北京政府もすごくはっきり言いました。5つの要求は聞こえないじゃなく納得しないということもはっきり、キャリーラムが言いましたので、なぜ香港人はこんなに頑張って戦っているのに政府は、そして良くないことをしている人たち、警察を含めて、なぜまだこういう権力乱用や、民意を尊重しないことはできるなんだろって色んな絶望的な気持ちがあります。

Q:抗議して自殺した?
 はい。

Q:そこまで追い詰められる、よほど強い意思があった?
 そうですね、やはり自殺した仲間がいるからこそ、そしてたくさん怪我をした仲間がいっぱいいたからこそ、私たちにとってもっと強い意志を持ってそういう人たちの代わりに、もっと頑張らなきゃいけないという気持ちがますます強くなりました。

Q:今回逮捕されたということは、あなたに対する最大の暴力だと思いませんか?
 私にとって最大の暴力はもちろん警察の暴力も大きいなんですけど、最大の暴力というのは香港のシステム、そして香港政府の姿の見えない暴力だと思います。
 例えば香港は民主主義じゃないとさっきも言いましたけど、実はこの20年間香港人は一生懸命、民主主義のためにいろいろ戦っていきましたけど、なかなか民意が尊重されていなくて、そしてそういう政党、システム的な弾圧がすごく多かったと思います。例えば私たちの政治システムはすごく不民主なので、だから政治システムもともと本当の民意を代表するができない。なので、こういうシステム的な弾圧、システムの暴力は一番大きいだと思います。