周庭さん香港の闘いを語る2(暴力の責任は)

 トランプ大統領は10日、「狂犬」と言われたボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)をクビにし、翌11日、ボルトン氏について、北朝鮮政策で大きな失策があったと批判した。(ロイター)
 金正恩をやたらと持ち上げているこ最近のトランプ大統領を見ていると、北朝鮮に対して無原則な妥協を重ねないか心配になる。ボルトン氏を私はインタビューしたことがあり、すぐに武力行使を(とくにイランに)口にする強硬派ぶりには辟易したが、今の米国の戦略なき外交のストッパーになっていた。トランプ氏が暴走しないといいが。


日韓を嗤(わら)うが如く飛翔体 (兵庫県 横山閲治郎)
ひたすらに祈りの中の拉致家族 (福岡県 河原公輔) 朝日川柳11日


 今の朝鮮半島情勢のなかで、拉致問題は忘れ去られてしまったかのようだ。
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 周庭さんは、15歳の若さで愛国教育に反対する運動に飛び込んだ。そして・・

周庭さん:私たち愛国教育に反対する運動は、集会もデモも何回もやりました。最大12万人の抗議デモがありました。そのあとで、政府が愛国教育はしばらくやらないという決定がありました。

Q:勝利したんですか。
 完全な勝利と言えないと思いますが、今政府も色んな他の方法で愛国教育の内容をやろうとしていましたが、確かに結果のある運動だったと思います。

Q:やはり戦うとちゃんと結果があるんだなと体験したという感じ?
 そうですね。やはり、私が初めて参加した社会運動は愛国教育に反対する運動なので、愛国教育の運動もちゃんと結果を残す運動なので。だから、もちろん社会運動を成功させることはすごく難しいことだと分かっていますが、ちゃんと戦わないとダメだなと、反抗しないとダメだなとわかりました。

Q:あなたが15歳でそういう運動始めた時に、周りのお友達は?
 そうですね。周りの友達そんなに政治に興味がない子も多かったんですが、愛国教育運動一番ピークの時期の時に、私のクラスメイトとかも、黒いリボン、あの時運動の象徴の一つは黒いリボンなんですが、黒色のカバンにつけたりしましたので、だから社会運動は人の心を変える力があるんだってすごい感じられました。

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レノンウォールに立つ周庭さん

Q:今ちょっと思い出したんですが、皆さん黒いシャツ着てるのそこからきてるんですか?
 いえいえ。色んな運動がありましたけど、一つ一つの運動も象徴するものや色とかロゴとかあります。

Q:そうすると色んな人達、グループがいるってことなんですね?一つじゃなくて。

 そうですね。色んな組織や団体もいました。

Q:周庭さんだけじゃなくて、こんなに長いこと、たくさんの人が戦うのはどうしてなんでしょう?
 そうですね。まずは香港はもちろん社会問題もおおいし、そして民主主義がないんですね。でも香港は民主主義の制度がないんですけど、システムはないんですけど、香港市民は民主の重要さがすごく分かっていると思います。
 だから、一生懸命戦っていると思いますし、特にもともと香港には一国二制度という北京の約束があります。その一国二制度を私たちの基本法というミニ憲法の中に書いてありましたので。今、北京政府はその約束を守らず、自ら香港の自治一国二制度のシステムを破壊しようとしていましたので、私たち香港人がもともと持っている権利や自由もどんどん弾圧されていますし、民主主義もなかなかこないし、だからたくさんの市民が私たちの権利、私たちの未来、私たちの次の世代の人たちのためにちゃんと街に出て戦わないといけないなとそういう思いがありましたね。

Q:「自由」というスローガンをたくさん見るんですけど
 自由と民主主義と人権は私たちにとってもすごく大事だなと思います。

Q:いま自由とか人権が危ないなと思うような具体的な事例ありますか?
 たくさんあると思いますね。まずは例えば、中国は全人代というものがありますが、全人代もともと香港のシステムにあるものではなく、中国のもの、中国の国会みたいなものなんですけれども、でも全人代が、例えば法解釈、私たちの基本法を再解釈する権力をよく使って、私たちの基本法の内容を変えようとしていました。法解釈も何回も何回も行ったことがありまして、例えば2016年の時に法解釈から私たち6名の立法会議員が資格を取り消されたというものがあります。(注)
 日本には民主主義のある国なので、例えば、国会議員の資格が政府に取り消されたということは、なかなかたぶん日本人は想像できないと思いますけど、香港はまさにこんなおかしなことが起きているので、しかも毎日起きているので、だからみんな怒りますね。
(注)2016年の立法会選挙で当選した議員のうち、反中国色の強い6人が議員資格を剥奪された。また、去年3月の立法会補欠選挙への周庭さんの立候補は無効とされた。このインタビューの翌日の9月2日、香港の高等法院(高裁に相当)は周庭さんの立法会補選への立候補を無効とした選挙管理委員会の手続きについて「不適切」とする判断を下している。

Q:ある本屋さんで問題が起きた事件もありました。
 そうですね、2015年の時に中国共産党を評論する、批判する本を売っている本屋さん銅鑼湾書店の人たちが、香港含めていろんな場所から中国大陸に捕まえられました。それはすごくおかしいですね。
 もともと中国の警察や中国共産党の人が香港や違う国で直接人を捕まる権力を持っていないので、だからそのことに関してもやっぱり香港市民はもちろん怒っていましたし、そして恐怖感がすごくありましたね、2015年の時に。いつか私たち中国が好きじゃないことやれば、いつか中国に誘拐されるんじゃないかなとか、こういう恐怖感があの時すごいありました。
(注)この銅鑼湾書店事件については後日特集します。

Q:それは今回の逃亡犯条例にも関係していますか?
 今回もともと逃亡犯条例の改正をみんな反対していた、改正が可決されたら銅鑼湾書店みたいな事件が合法的になってしまうということになるかと思いますね。でも今この運動も単純に改正案に反対する運動じゃなく、私たち5つの要求というのを求めています。

Q:じゃあ運動が逃亡犯条例から始まってるけども、もっと大きな要求になっている?
 はい、もともとは単純に改正案に反対する運動だったんですけども、でも運動の中で警察からの暴力はますますエスカレートしていて、だから警察の暴力、警察の行為に対して外部調査を行う必要があるという要求もあるし、今香港政府側が外部調査を行う要求はすごくはっきり断りましたけど、私たちにとってすごく重要だと思いますね。今の警察の行為はすごく問題的だと思いますし、ルール違反の弾圧とかもたくさんありました。そして5つの要求の中に1番重要な要求というのは、普通選挙。いわゆる民主主義を求めています。

Q:昔の香港警察はもっと優しかったって聞いたんですけど。
 確かに今回の運動の中で警察がすごく狂っていたと思いますね。昔の警察はもちろん権力乱用とかもたくさんありましたけど、今回の運動は特にひどくなって、警察で権力どんどんどんどん大きくなって、やりたい放題になってしまったというのはすごくひどいだし、もともと警察の責任というのは市民を守るということなんですけれども、今警察は完全に市民を守ることはできなくて、逆に市民を攻撃しようといつもしていました。

Q;昨日(31日、インタビューしたのが9月1日)の集会には周庭さんは行かなかったんですか?
 そう昨日参加してないんですけれども、でもやっぱり色んな国際メディアの取材をしたりしました。やっぱり一昨日逮捕されましたので、だから今保釈の条件というのもあって、今そういう、法律違反の活動に参加することはもっと気を付けないといけないですね。

Q:保釈の条件というのは?
 保釈の条件はまずは、1万香港ドル。あとは夜の11時から朝の7時まで家にいないとダメ。そして警察本部、警察本部の近くの町に行っちゃダメ。そして外国に行けない。ということです。

Q:そうすると、あんまり政府を刺激するようなことをするとまた問題になっちゃう?
 えっとね、法律違反や申し込みを入れてないデモに参加することはちょっともっと考えなきゃいけない状況になってしまいました。

Q:昨日の集会の後も、朝までずっと取材してたんですけど、デモ隊がかなりバイオレンスというか暴力的な感じになっていきました。その原因はなんですか?
 私にとってまずは、一番暴力を使っていたのは警察だと思います。昨日だけではなく、6月から銃を撃ったり、催涙弾を使ったり、人を逮捕したり、警棒で人を殴ったり、本当にいろんな暴力、様々な暴力を使いました。私にとって1番危険というのは、警察はどんだけ暴力を使っても法律的な責任がないんですよ。いわゆる警察は合法的にいろんな暴力を使うことができる。合法的に銃を撃つこと、人々たちの頭に向けて銃を撃つことができる。それはすごく危険だと思います。本当に人を殺しても合法的なんだとか、法律違反ではなかったので、なのでそれはすごく危険だと思います。だから香港市民も警察の暴力、そして権力乱用について怒りの気持ちがますます増えてました。


Q:じゃあデモが暴力的になったのは警察に責任がある?
 そう、まずは警察に責任もありますし、もちろん香港政府も責任をとらないといけないと思います。香港政府は、私たち香港人は6月から5つの要求を出していましたけど、今香港政府はまだ1つの要求も聞いていない。尊重していない。もともと政府の責任は市民の意見を尊重することで、今その政府キャリーラム(行政長官)は全然政府としての責任をとっていないので、だからみんなもそういうデモに参加する人数もどんどんどんどん増えました。
(つづく)