きのうと今日は企画案づくり。うちは、番組はすべて一本売り。自分たちでアイディアを出してリサーチし、企画案をテレビ局に「おもしろいでしょう。やりましょうよ」と売り込む。久しぶりに北朝鮮ネタの企画書を書いたが、はたして興味をもってもらえるか。
きょう夕方、ある催しがあって、中央線の高円寺で降りた。そして、あのロスプリモスの「さらば高円寺」に登場する高円寺の前を通った。
「さらば高円寺」
パチンと頬を たたかれて 言葉につまる 俺をおき
美代子は店を 出て行った 高円寺南口の喫茶店 もうこの街にも来ないだろ
そんな最後の 思い出に 見知らぬ道を ただ歩く
ふっと見上げた その先に ほんとに あるのね
ほんとに あるのね 高円寺
高円寺 南口 徒歩6分(ドゥワッドゥワー)
徳川家ゆかりのこのお寺 (ドゥワッドゥワー)
家光公が 鷹狩りで立ち寄った (ドゥワッドゥワー)
とつづく唄である。私もEテレの2355でこの唄を聞く前は、高円寺とは駅の名前であって、そういう名前のお寺があることはしらなかった。私の他に2人、門前で写真を撮っていた。境内は見事な紅葉。曹洞宗のお寺だそうだ。こんどゆっくり訪れたい。
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北朝鮮が米国全土を射程に入れたとする「火星15号」の発射実験でまたニュースになったと思ったら、今度はSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射実験の兆候ありと米国のシンクタンクが言っている。この開発のスピードからすると、来年あたりが一つの節目になるかもしれない。それが非常に危ないものになる可能性もあることを警戒しておこう。
先月22日、TBSのニュース23に呼ばれた。トランプ政権による北朝鮮の「テロ支援国家」再指定と制裁について何かコメントせよという要請だった。このところ北朝鮮関連の番組をやっていないので、テレビでのコメントは久しぶり。実は私は、金融制裁についてはかなり取材して、『金正日「闇ドル帝国」の壊死』(光文社)という本も出している。旧知のプロデューサー が私のことを覚えてくれていたらしい。
この本、マカオのバンコデルタアジア(BDA)への制裁で北朝鮮がこれまでになく追い詰められ、ついに初の核実験を行った2006年の末に緊急出版した。金融制裁こそ、北朝鮮の体制崩壊につながるかもしれないと期待を込めて出したのだが、出版直後にブッシュ政権が腰砕けになり、翌年07年に金融制裁を解除、さらに08年には「テロ支援国家」も指定を解除してしまった。当然、売れなかったようだ。
ニュース23では、今は米国が北朝鮮を「テロ支援国家」に指定し、かつ金融制裁をかけていた2006年の段階に戻った状態だと解説した。実は、あまり報じられないが、米国は今、中国の銀行に事実上の金融制裁をかけている。
今年6月、米国財務省金融犯罪執行ネットワーク(FinCEN)が、北朝鮮のマネーロンダリングに関与しているとして中国の丹東銀行を米国の金融システムから排除するよう提案している。提案した段階で実効性があるから、丹東銀行はドル決済ができなくなったはずである。2006年のBDAに対する措置と同じである。(この仕組みについてはhttp://d.hatena.ne.jp/takase22/20161206)
丹東銀行は、鴨緑江を隔てて北朝鮮と接する国境の街の地方銀行だ。米国のやり方は、小さな銀行に制裁をかけ、見せしめにすることで、他の大きな銀行を脅すというもの。米国と中国との経済関係の巨大さから考えて、いきなり中国の大銀行に制裁をかけて大混乱を起こすわけにはいかない。
丹東銀行への制裁は実際に効果があった。9月、中国銀行をはじめ中国の大手国有銀行が、北朝鮮人名義の口座取引の大半を停止したことが分かった。この動きが、中国のその他の銀行に波及していけば北朝鮮にとっては大変なことになる
経済制裁というと、貿易の制限、特定人物、機関の口座凍結、融資・援助の停止などがあるが、コルレス取引を規制する金融制裁は別格で、国際間のお金のやり取り自体ができなくなる。
米国によりテロ支援国家に指定されると、米国による貿易規制がかけられたり国際機関からの融資には米国が自動的に反対するなどの不利益はあるが、北朝鮮はすでにさまざまな制裁をかけられているので、すぐに何か大きな直接の効果があるわけではない。従って、テロ支援国家再指定より、私はむしろ、この金融制裁に注目したい。
TBSのニュース23で、私のインタビューとともに『金正日「闇ドル帝国」の壊死』の表紙と中身の一部を紹介してくれたおかげか、購入した人がいるらしい。こないだまで、アマゾンで1円で出ていた中古本が一掃されていた。