シリアで殺され続ける医療スタッフ

 
 近くの農家で鯉のぼりを揚げていた。
 もう子どもの日か。
 月は皐月、あす5日から節気は立夏
 5日からの初候は「蛙始鳴」(かわず、はじめてなく)、10日からは次候の蚯蚓出」(みみず、いずる)、15日からが末候「竹笋生」(たけのこ、しょうず)。
 「立春」や「立夏」は季節の先取りだという。「立春」は2月4日ごろだが、これは今が冬のピークで、これから春へ向かうという意味だそうだ。
 だから、「立夏」とは、今が一番春らしいときで、これから夏に向かうという日になる。とはいえ、きょうは夏本番のような陽気で、東京都内で気温30度に達して真夏日になったところもあった。
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 「停戦」しているはずのシリアでは、主に政府軍によって、連日たくさんの民間人が殺されている。
 27日夜には、北部の要衝アレッポで、国境なき医師団(MSF)が支援する病院や付近への空爆で、少なくとも27人が死亡。そのほかの攻撃で30人以上が死亡した。
 国境なき医師団のバブロ・マルコ氏によると、この空爆で少なくとも50人が死亡した。この中には医師2人と看護師2人など、病院職員少なくとも6人が含まれるという。犠牲者数はさらに増える可能性もある。(爆撃直後のニュース)
おそらくシリア政府軍かロシア軍の仕業だろう。政府軍は、医療機関とスタッフを狙い撃ちにするし、こないだのロシア軍の爆撃も病院であることを知って意図的に狙っていた。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20160304

 こういうところで働く医療スタッフには感謝と尊敬しかない。
 あるフェイスブックにこの爆撃で亡くなった医師を悼む友人が以下の文章を載せている。

 友人の皆様へ
 私はハテムと言います。シリア・アレッポで小児病院の責任者をしています。
 月27日、27人のスタッフと患者が、アルクドゥス病院付近への空爆で亡くなりました。私の友人、ムハンマド・ワシーム・マーズ医師は、町で最も優秀な小児科医でしたが、この攻撃で命を落としました。

 彼は以前、昼間は我々の小児病院で働き、夜には夜勤の救急に勤務するためアルクドゥス病院に通っていました。
マーズ医師と私は以前、1日に6時間をともに過ごしていました。彼は気さくで優しく、スタッフの皆とよく冗談を言い合っていました。彼は病院で最も愛すべき医師でした。
 私は今はトルコにいます。マーズ医師は私がアレッポに戻った後に、ここにいる彼の家族を訪ねることになっていました。彼は4カ月間、家族に会っていませんでした。
 マーズ医師は世界で最も危険な町、アレッポに滞在していました。患者への献身のためでした。そこでは病院が、しばしば政府やロシア空軍の標的になります。
 マーズ医師の命が奪われる何日か前、空爆が私たちの病院からわずか200メートル離れた所を襲いました。爆撃が激しくなった時、医療スタッフたちは赤ちゃんを守るために保育器を運び、病院の一階へと走りました。
 他の多くの方たちと同様、他人の命を救っていたために殺されました。今日、私たちはマーズ医師の人間性と勇敢さを胸に刻みます。どうか彼の話を共有して、アレッポやシリア全土で医療従事者が直面している問題について、人々に知らせて下さい。
 現在の状況は危機的です。アレッポは間もなく包囲されてしまうかもしれません。私たちには世界からの注目が必要です。
 我々の事を心に留めてくだされば幸いです。
 ハテム医師
https://www.facebook.com/TheSyriaCampaign/photos/a.608812989210718.1073741828.607756062649744/1034460166645996/?type=3&theater

 この爆撃に先だって、オバマ米大統領は25日、「イスラム国」(IS)との戦いのため「特殊部隊を含む米兵を最大で250人、シリアに追加派遣することを承認した」と発表した。
 BBCによると、追加派遣されるのは大方が特殊部隊だが、医療や兵站部隊も含まれるという。大統領はすでに特殊部隊約50人のシリア派遣を承認していて、派遣要員は合わせて約300人に増える。大統領は「地上部隊の派遣はしない」といい、派遣する支援要員は戦闘任務には直接、関与せずに現地部隊の訓練などを行うとしているが、ISに攻撃されれば、そのままIS対米軍の直接の地上戦闘になる。
 一時、ISが弱体化したという情報が出廻ったが、そんな情勢ではない。「イスラム国」の存在理由、その強さと意外な弱点などについては、常岡浩介『「イスラム国」とは何か』(旬報社)をお読みください。