拘束され、両親を失っても、私はシリアを撮り続ける

シリアでは陰惨な戦闘と住民虐殺が今も続くが、いま焦点になっている北部の町アレッポ在住の記者のコラムが現地のリアルな状況を伝えている。
AFPの記者、フォトグラファー、そしてビデオジャーナリストとして取材を続けるカラム・マスリ(Karam al-Masri)氏本人の思いをつづった文章で、はじめ英文で読んで感動し、日本語に翻訳していた矢先、邦訳が出たので、ここに紹介したい。

【AFP記者コラム】拘束され、両親を失っても、私はシリアを撮り続ける
http://www.afpbb.com/articles/-/3105347

カラム・マスリ氏については冒頭、こう紹介されている。
《政府軍とイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に相次いで拘束され、両親が空爆で死亡し、生まれ故郷の街が包囲され、空腹と爆撃に耐える日々。そうした中でも、彼はひるむことのない勇気をもって、自分が育ったアレッポの街の荒廃した姿を取材し続けている。》

【シリアのアレッポで、政府軍とロシア軍による空爆で負傷し治療を受ける少年(2016年9月24日撮影)。(c)AFP/Karam al-Masri】

《 2011年にシリアで革命が始まる前、私の人生はとてもシンプルだった。私はアレッポ大学(Aleppo University)で法律を学んでいた。でも今、私はすべてを失ってしまった。両親も大学も失った。一人っ子だった私が最も恋しいのは家族、父と母、特に母のことだ。母のことは毎日思い出し、夢も見る。今でも母を失ったことを思うと心が痛い。私は今、1人で生きている。誰もいない。友人もほとんどはいなくなってしまった。亡くなったか、亡命してしまった。》
と始まるコラムを読みながら、「ひどいな」、「えらいな」、「すごいな」とため息が出てきて、シリアの現実の残酷さ、さらには人間の気高さに心をゆさぶられた。
国際社会は、シリア問題を最優先課題として取り組むべきである。