「戦前がひたひたと迫っている」野坂昭如

takase222015-12-10

野坂昭如氏が9日夜、亡くなった。
火垂るの墓』は泣かせる小説だった。彼の言っていることは感覚的だがまっとうなところを衝いていたし、当たって砕けろ的な生き方を好もしくも思っていた。
平成15年に脳梗塞で倒れてからは、口述で執筆活動を続けていたが、亡くなる直前に書いたとみられる原稿が、新潮社の月刊誌「新潮45」編集部に9日午後3時半ごろ、ファックスで届いたという。
《原稿は日記形式で、野坂さん自身の近況のほか、12月8日の太平洋戦争の開戦の日にちなんで戦争や平和について書かれているということで、当時小学5年生だったみずからの思い出や、世界各地で起こっているテロや紛争地域の空爆について、それに、日本人が飢餓を忘れ農業への関心を失っていることを懸念する内容などがつづられているということです。》
そして末尾は「この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう」と結ばれているという。NHKニュース)
そういえば、8日はパールハーバー奇襲の日だった。今年は、新聞もテレビもほとんど無視だったな。

アメリカからはきな臭いニュースが。地上軍を派遣して「イスラム国」と戦えという声が高まっているという。
《米CNNとORCが米国の成人を対象に実施した世論調査で初めて、過激派組織「イスラム国」の掃討に向けた米軍地上部隊の派遣を支持するという回答が過半数に達した。
調査は11月27日〜12月1日にかけて全米の1020人を対象に電話で実施。53%が「米国はISIS掃討のため、イラクやシリアに地上部隊を派遣すべき」と回答した。
オバマ大統領の対テロ政策については6割が評価しないと回答。米軍のこれまでの対応では不十分だとする回答は68%に上った。》http://www.cnn.co.jp/usa/35074531.html

また、シリア難民受け入れへの反対が過半数になっているところに、来年の米大統領選の共和党候補指名獲得争いでトップを独走するドナルド・トランプ氏が、なんとイスラム教徒の全面的な米入国禁止を提唱。アメリカはどんどん不気味な気配になっている。
http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_all&k=20151210033586a
野坂氏のいう「戦前がひたひたと迫る」ことにならぬようにしないと。
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戦争で思い出したが、以前このブログで国会議事堂が戦時中黒く「迷彩」されていたと紹介した。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20150717
染料で塗ったのかと思っていたら、実はこれ、黒いネットで覆っていたのだそうだ。NHKのカラーで見る太平洋戦争で紹介していた。
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二つ、お知らせです。
ひとつは、本の出版です。

『ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証』危険地報道を考えるジャーナリストの会・編
集英社新書 12月17日発売 定価760円+税
アジアプレスの石丸次郎さんはじめ10人の執筆陣によるもので、私も末席を汚しています。


二つ目は、拉致問題の啓蒙ビデオ放映のお知らせ。
川崎市では12月から、拉致問題啓発のための映 像を市内各所で放映しています。
この映像は、10月3日に開催された「拉致 費被害者家族を支援するかわさき市民のつどい」で、横田御夫妻と私が対談した際の映像を編集したもので、ジン・ ネットが15秒と30秒の二つのバージョンを制作しました。
放映場所と放映期間は以下です。お近くの方 にご覧いただければ幸いです。
【15秒バージョン】
川崎市役所  12月1日〜1月29日
幸区役所   12月1日〜3月31日
中原区役所  12月10日〜1月9日
高津区役所  12月7日〜3月31日
宮前区役所  12月1日〜3月31日
多摩区役所  12月1日〜3月31日
麻生区役所  12月1日〜1月15日 

【30秒バージョン】
ノクティプラザ「ノクティビジョン」12月 10日〜12月16日
川崎市駅西口「河川情報表示版」12月1 日〜3月31日