「君死にたまふことなかれ」をちゃんと読んでみたら

takase222014-07-19

先週末、ホタル狩りに行った。
場所は、あきる野市の横沢入(よこさわいり)という里山

http://green.ap.teacup.com/yokosawa/
上の娘が通っていた幼稚園の父兄と一緒にホタル狩りに行ったのがとても楽しい思い出になり、その後、うちの家族の毎年の行事になった。数年前からは、かみさんや娘たちが欠けたりするが、私だけは皆勤賞で、もう十六、七年続いている。
夕方、武蔵増戸という駅で降り、近くのそば屋で一杯。今年も元気で来れたなと嬉しさがこみ上げる。
そこから歩いて、湿地に入っていく。いた。
小さな光の点滅をじっと見て物思いにふける。
亡くなった人のこと、自分の今の生き方、ホタルの短い命・・・
例年よりホタルの数は少なかったが、今年も、かけがえのない至福の時間を過ごすことができた。
また、来年見られるかな。
・・・・・・
いま、テレビを観ていた娘が「行方不明の女の子、見つかったって」と大きな声を上げる。
あの小5の子か。ああ、よかった。
・・・・・・
集団的自衛権の騒ぎのなかで、抗議のデモのプラカードに「君死にたまふことなかれ」が書いてあった記憶がある。
国語で習った以外、与謝野晶子にはとくに関心を持つことがなかったのだが、この詩、ちゃんと読んでみると、すごい。

「君死にたまふことなかれ」の題のうしろに「旅順口包囲軍の中に在る弟を歎きて」とある。日露戦争真っ只中、世論が高揚し、戦争支持の新聞が部数を急激に伸ばしていた時期である。

ああをとうとよ、君を泣く、
君死にたまふことなかれ

ではじまるが、
第二連にはこうある。

旅順の城はほろぶとも、
ほろびずとても、何事ぞ、
君は知らじな、あきびとの
家のおきてに無かりけり。

旅順が落ちようが落ちまいが、私たち商家にはどうでもいいことだ、と言い放っている。
第三連がまたすさまじい。

君死にたまふことなかれ、
すめらみことは、戦ひに
おほみづからは出でまさね、
かたみに人の血を流し、
獣(けもの)の道に死ねよとは、
死ぬるを人のほまれとは、
大みこころの深ければ、
もとよりいかで思(おぼ)されむ。

天皇陛下はご自身では戦場においでにならないで、人民に血を流しケモノのようになって死ねとお命じになったり、死ぬことが名誉だとお称えになったりすることを、まさかお思いではないでしょう。大御心が深くいらっしゃるのですから・・
こんなこと言って大丈夫なのか、と現代に暮らす私が心配になるほどだ。

当然、批判が寄せられた。
それに晶子はどうこたえたか。
(つづく)