「ふたりの桃源郷」

もう一年の半分か。
月は水無月。節気は芒種(ぼうしゅ)。芒種とは稲や麦などの種のことで、種まきの時期だ。
6月5日からが初候の螳螂生(かまきりしょうず)、次候の腐草為蛍(くされたるくさ、ほたるとなる)が10日から。いまは、16日からの末候の梅子黄(うめのみ、きばむ)に入っている。昔の人は、ホタルは腐った草から生まれると思っていたのか。ホタル狩りにいつ行こうかな。毎年この時期の楽しみである。
サクランボ(桜桃)が旬を迎えている。うちの田舎の農家に注文したのでそろそろ着くころだ。
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『ふたりの桃源郷』という映画を観てきた。
《山で暮らす一組の夫婦と、彼らを支える家族の姿を25年にわたり追い続けた人気テレビドキュメンタリーシリーズ「ふたりの桃源郷」を映画化》したもので、製作は山口放送


中国山地の奥深くで、戦災で焼け出された夫婦が生活を始める。電気も水道も通わない山で「自分たちの食べるものは自分たちで作ろう」と山を切り開いた。子どもが生まれ、子どものために一度は山を離れるが、還暦を過ぎた2人が余生を送る場所として選んだのが、あの山だった。離れて生活する家族との葛藤、そして2人にも「老い」、そして「死」が訪れる。》(映画解説)
http://www.kry.co.jp/movie/tougenkyou/about.html
畑で採れる作物と山の幸でほぼ自給できる暮らし。大変じゃないかなと思うのだが、二人は実にうれしそうだ。満ち足りた笑顔が実にいい。体がきかなくなっても、山で暮らしたいと強く願う二人は、寄り添う娘たちに助けられながら、望みを全うして死んでいく。人の幸せはここにつきると思うほどのハッピーライフ。それなのにハンカチを目にあてる観客が多かった。
我々は自然との関係、そして家族(コミュニテイ)との関係、いずれも希薄になっている。幸福とは、家族とは、としみじみ考えさせられる映画である。