ビッグイシューを初買い

takase222014-01-04

新年おめでとうございます。良い年になりますように。

今年の初詣では、前から気になっていた「矢川弁財天」、通称「ヘビ神社」にした。
弁天様は、古代インドでは川の神だったようで、これが「ナーガ」(龍)信仰とつながり、日本でも弁天様と龍神そしてヘビ信仰と習合したとされる。
拝殿前には石の白蛇が二匹。狛犬ではなく狛蛇さまがいる。
参拝者のいない小さな境内に入ると、老若二人の女性がお神酒で出迎えてくれた。神社の由来を尋ねると、神社を守っているという80歳の女性がこんな話をしてくれた。
明治期にここを開拓した祖父(井上吉之助)が、打ち捨てられた古い祠を見つけた。それをまつり直したのがこの弁天様だという。そして祖父は、従兄妹の木島キヨを呼んで初代教主にした。このキヨさんは、何でも言い当てる霊能者で、周辺住民にとても慕われたそうだ。
私に話をしてくれた女性は、20歳過ぎまで木島キヨと接していたと思い出を語ってくれた。キヨは初等教育も受けておらず字も読めなかったが、むつかしいお経をすらすら唱えたという。経典をチェックすると一字一句間違いない。キヨは神さまの言葉が降りてくるといっていたそうだ。
拝殿奥の本殿には、「ヘビ神様がほんとにいらしゃるんですよ」と、その80歳の女性が真顔でいう。いまは冬なので、本殿下の地面に潜っておられるとか。
「でも、見た人はいないんでしょう」と私が聞くと、若い方の女性が割って入ってきて「何人もの目撃証言があります」。
おもしろい!
発祥の打ち捨てられた祠、霊能者のおばあさん、ヘビ神さま・・・。地域に残る小さな神社には、その土地の歴史が息づいている。お祭りの日を聞いて、なるべく通ってみよう。
おみくじを引いたら「末吉」。末吉が一番いいのよ、と80歳の女性に励まされ、お札を買って、気持ちよく帰途についた。
・ ・・・・・・
きょう通勤の駅で、もう『ビッグイシュー』を売っていた。
この雑誌は、ホームレスの自立支援のために発行されており、定価300円のうち160円がホームレスの販売者の収入になるという仕組み。
この仕組みにも共鳴するが、何より中身がおもしろいので私は愛読している。
とくに好きなのが、“FROM THE STREET−街角と販売者”というページの、「ホームレス人生相談」というコーナー。読者からの相談にホームレスである販売者が答えるというもの。
11月はじめの226号の人生相談はすばらしかった。

問い:3年前に息子をがんで亡くしました。息子に先立たれてからというもの、何もする気が起こらず、気づけば家でぼーっとしています。唯一の楽しみの畑仕事をする以外、生きる気力がわかないのですが、どうしたらいいでしょうか?

答え:僕は、今年の7月に母親を亡くしました。永遠と信じていた家族にも、終わりがあることを経験したばかりなんですよ。母親の死をなかったことにはできないけれど、こうして僕が生きているのにも、何か意味があるんじゃないかと、最近思えるようになりました。
考えてみれば、僕が生きる目標は、母親に認めてもらうことだったんですよね。37年間ずっと苦労かけっぱなし。家出をして、取り返しのつかないことになって、「生まなきゃよかった」とまで言われた時もありましたよ。
でも、ビッグイシューを売って、ようやく部屋を借りられるようになった。報告しようとした矢先、母親はこの世からいなくなってしまいました・・・・。

(つづく)