節電効果の高い「需給調整契約」4

takase222012-05-12

緑が濃くなってきた。
写真は御茶ノ水橋から聖橋方面を撮ったもので、右が通勤で乗り降りするJR御茶ノ水駅。下の川は神田川江戸城外堀)。周辺に緑の多い駅である。
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きのうの東京新聞に「業務用 契約変更で割安に 東電また説明せず」という見出しの記事が載った。
東京電力による大口需要者向け料金が四月一日から値上げされた問題で、一般的な「業務用電力」から、夜間料金が安い「業務用季節別時間帯別電力」に契約変更すれば割安になるケースがあるのに、東電側が一部の大口需要者に対して十分な説明をしていなかったことが分かった。
 大口需要者のマンション管理組合の一部が東電に抗議したことから発覚した。「季節別時間帯別」は、昼間より夜間の料金を低く設定する一方、夏季の午後のピーク時を割高にする制度。マンションは廊下の照明など夜間の使用が多く、安くなりやすい。契約変更を認められたある管理組合の場合は、前年比約5%の削減になるという。
 東電側は管理組合に対し、説明不足を認め、三月にさかのぼって「季節別時間帯別」に契約変更することに応じた。値上げ前の三月三十一日付で一年間の契約変更をしたため、来年三月までは値上げ前の旧料金設定となる。他のマンション管理組合なども同様の要求をすれば、さかのぼっての契約変更が認められる可能性がある。
 マンション管理組合は、廊下などの共用部分の電気料金を五十キロワット以上で契約している場合、企業などと同じ大口需要者とみなされる。大口需要者の電気料金は、四月から平均で約17%値上げされた。東電は契約更新時までは料金を据え置けることの説明を怠り、批判にさらされた経緯がある。》
 実際には、多様な料金体系があるのに、電力会社はこれまでも広く知らせてこなかった。黙っていれば、たくさん料金が取れると思って情報を出さないのであれば、サービス産業として失格だ。
 一方で、大企業を中心に結ばれてきた「需給調整契約」は、需給逼迫時の電力カットを容認するだけで料金がお得になる。もともと家庭用より安い業務用料金がさらに安くなるのだ。それでいて実際にはカットがほとんど実施されてこなかったのだから、何のリスクもなく安い料金をサービスしてきたわけである。これまで契約企業はいい目を見てきたのだから、この夏、カットが必要なら、この契約をフルに使ってぜひどんどんやってほしい。
「需給調整契約」には不可解なことがいろいろある。
去年、東電は「輪番停電」を実施して産業に多大な影響を与えた。あのときの「恐怖」がのこっているから、夏の停電の可能性を出されると事業者は動揺する。しかし、あのとき、「需給調整契約」をフルに発動したのか、疑問視する声がある。
さらに問題なのは、今年の夏の需給逼迫はずっと前から予想されていたにもかかわらず、関西電力がそのための手を打ってきたのかということだ。
河野太郎議員が先月29日のブログで、政府への質問と回答を載せている。
問い:2011年3月末において関西電力が結んでいた需給調整契約の種類と件数、対象となる電力量を記せ。また、2012年3月末の同様の数字を記せ。
答え:関西電力からの報告によれば、関西電力が締結する需給調整契約の種類には随時調整契約と計画調整契約があり、平成23年3月末において関西電力が大口需要家と締結していた同年夏に適用される需給調整契約の契約件数は260件であり、需給調整契約により抑制することが可能な電力の最大値は49万キロワットであり、また、平成24年3月末において関西電力が大口需要家と締結した同年夏に適用される需給調整契約の契約件数は24件であり、需給調整契約により抑制することが可能な電力の最大値は36万キロワットである。http://www.taro.org/2012/04/post-1195.php
関西電力は、そもそも需給調整契約量が他の電力会社に比べて少ないうえに、危機を煽っておきながら契約を拡大するどころか減らしているのである。需給バランスをとる努力を真剣にしているのか?
これでは、解決法は原発再稼動しかないと思わせるために、わざと足りなくしているのではないかといわれても仕方ないだろう。