避難しなければ賠償しない?

takase222012-05-14

急にあたたかくなって、コデマリの花ももう終わりだ。
朝の楽しみはメダカへの餌やり。餌をまくと一斉にぱくついて、見ていてうれしくなる。餌をまく前に瓶の縁をコンコンと指で叩く。コイのように音だけで寄ってこさせられるか実験中なのだ。
「資金繰りで追いまくられているくせに吞気な野郎だな」と思われるだろうが、毎日がうれしい。気候がいいこともあるが、イメージトレーニングの成果だ。これについてはまたいずれ。
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電力をめぐる動きが激しくなってきた。
戦争でいうと、いろんな場所に戦線が形成されてぶつかり合っている感じだ。フォローしきれない。
まず、東電改革。
「東電改革『社内分社』手始め 発送電分離加速か」(5月10日東京新聞
《政府が九日に認定した東京電力の総合特別事業計画には東電解体をにらんだ組織改革が明記された。東電の実質国有化を機に政府が狙う、電力会社の発電と送電を切り離す「発送電分離」の実現。送電網を広く開放し、多くの企業が発電や電気の小売りに参入できる自由な競争環境をつくれば、電気料金の値下げが進むためだ。
「関東エリアにおける電力事業の改革は(日本)全体よりも先行する」。枝野幸男経済産業相は計画認定後の記者会見でこう力を込め、東電の動きが電力業界の大改革の引き金になることに期待した。政府が二〇〇〇年以降、進めてきた電力市場の真の自由化の実現が狙いだ。
電力市場の自由化で政府は、一般家庭を除く産業用の大口顧客向けに発電事業や小売りサービスに新規参入ができるようにした。だが、実際には電力会社が特定規模電気事業者(PPS=新電力)などの新規参入者に高い送電網の利用料を要求し、競争妨害しているとの指摘は絶えない。
逆に、電力会社同士では互いの営業区域を侵さない暗黙の相互不可侵があり、競争は全く起きていない。各営業地域での発電から送電、家庭や企業への売電までを一貫体制で行い、競争しなくても収益を確保できる「地域独占」の特権が与えられてきたためだ。》(以下略) 一三年四月までに燃料・火力、送配電、小売りの三部門を社内で独立した会社のように運営する「社内カンパニー制」をとり、その後、完全分社化するという。ただ、《電力会社は解体に繋がる発送電分離に早くも抵抗している。税金の支援を受ける東電の内部でさえ、「分社化は、発送電分離が目的ではない」(広瀬直己次期社長)と公然と政府の狙いを牽制する有り様だ。》
せめぎあいが続く。
一方、賠償は遅々として進まないばかりか、その理不尽さに被災者が立ち上がりはじめた。
南相馬1100人 東電に「不服」 自宅残留 賠償置き去り」(13日東京新聞
《「3・11」以前の生活を返せ−。東京電力福島第一原発事故の損害賠償をめぐり、福島県南相馬市原町区の住民1,100人が今月、国の原子力損害賠償紛争解決センターに和解の仲介を申し立てる。昨年のセンター開所以来、最大の集団申し立て。中でも、事故直後から自宅にとどまり、さまざまな精神的苦痛を強いられてきた住民からは、避難期間にしか重きを置かない東電の賠償基準に「実態から程遠い」と怒りの声が渦巻く。》
和解の仲介を申し立てたのは十日現在で2,240件(4,729人)。和解が成立したのは120件で全体の5%のみだ。上の記事の原町区の1,100人に続き小高区の住民1,000人も7月末までに申し立てるという。
生活の糧を失い、家族や近所とばらばらにされたまま一年以上の避難生活でみな疲弊している。賠償が「避難したかどうか」で算定されるのはおかしいと住民は訴える。
《「原発事故以降、出歩くことがめっきり少なくなりました」
 原町区の自宅兼仕事場の庭先で、鋳鉄部品製造業の中野恵一さん(62)がこぼした。手にした放射線量計は、国の除染基準の毎時〇・二三マイクロシーベルトを大きく上回る〇・八六五マイクロシーベルトを示していた。
 自宅は旧緊急時避難準備区域(第一原発から二十〜三十キロ)内。外出を控える原因は、放射能への不安だけではない。認知症の母が利用する介護施設が、事故の影響で職員不足に。以前は二日に一度利用できたが、今は月五日程度。残る大半の日は、妻と交互に自宅で介護しなければならない。「ほかのことは手に付かない」
 仕事でも事故の影響から取引を中止する顧客が相次ぎ、売り上げは半減した。新緑の季節を迎えながら、趣味の山歩きで気晴らしすることもできない。「相次ぐストレスで眠りが浅くなってしまって…」。医者に精神安定剤を処方してもらった。
 中野さんは事故直後、一家七人で仙台市に避難したが、母の症状が悪化したため妻と母と三人だけで四月に帰宅した。一方、東電の基準では精神的損害賠償の対象をほぼ避難期間に限っており、自宅に残って強いられた苦痛は償われない。これを不服として申し立てに参加する中野さんは訴える。「お金どうこうの問題じゃないが、東電には全く誠意が感じられない」》
東電を救済して国民の税金で賠償する仕組みにしてしまったが、あらためてその正当性が問われよう。
《原町区民の主な申し立て内容は精神的損害賠償の増額。東電の基準では、避難していない人には10万円支給が一度限り、避難した人は月額10万円前後が支払われるが、申し立てでは避難の有無にかかわらず毎月35万円に増やすことを求める》
暮らしを根本から破壊されて、たったの10万円なのか。
「地域に残る人を大事にしない仕組みはおかしい。これじゃあ、だれも戻ってこねえぞ」
という声はもっともだ。