節電効果の高い「需給調整契約」2

takase222012-04-29

写真はきのう書いた芍薬
もう花が開ききっている。たぶん和芍薬といわれる和風の品種だろう。
女性で言うと誰かな。藤原紀香
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政府は23日、電力9社がまとめた今夏の電力需給見通しを公表した。
電力会社は、原発の再稼働なし、2010年並みの猛暑を前提として、夏の電力が足りないと言っている。これに対しては、政府は電力の需給検証委員会で、電力9社にこんな注文をつけた。
《電力の使用量については、工場やオフィスなど大口の需要家と結んでいる随時需給調整契約などで、夏場の最大使用電力量を抑える必要性を指摘した。ただ、同契約による節電効果は9電力の合計で491万キロ・ワットと需要量の2・9%にとどまるとしている。このうち、関電管内は、37万キロ・ワットと需要量の1・2%程度の抑制にとどまる見込みだ》(4月24日 読売新聞)
ここに「需給調整契約」という言葉が出てくる。
「需給調整契約」とは、ピーク時間帯の電力消費を減らせば料金を割引するという、需給逼迫に備えた契約だ。
いま最も注目されてよい制度なのに、これに関する資料は驚くほど少ない。契約実態についてはなぜか公表されてこなかったのだ。詳しいのは自民党ながら脱原発の闘士になっている河野太郎代議士。去年のブログから引用させてもらう。http://www.taro.org/gomame/
「緊急時調整契約B約款」という文書によると;
対象=事前の連絡により、3時間以上継続して契約電力の20%以上または1000kW以上の調整をできる顧客。
調整依頼=調整の3時間前までまたは1時間前までに依頼をする。
調整時間=1回につき原則として3時間。

例えば、真夏のある日、午後1時ごろ需要が供給を上回りそうだと電力会社が予測したとする。電力会社はその日の朝(3時間前までまたは1時間前までに)、契約者に通告して電気供給を昼の3時間、2割カットするのである。
こういう契約を結ぶ企業は、自家発電設備を備えたところが多いから、事前通告にもとづいて自家発電を稼動させれば十分に対応できる。
あるいは、冷房をゆるくしたり、照明を半分にしたり、エレベーターを止めたりなどの方法で3時間だけしのぐ企業もあるだろう。2割のカットは致命傷にはならないはずである。例えば、水産会社なら冷凍庫だけは絶対電気を止められないとか、各企業に電気を回す優先順位があるから、必要度の低いものからカットしていけばよい。
もちろん、料金は割引になる。
料金=料金からこの契約をすることによって割り引かれる予約割引額、及び実施された場合に割り引かれる実施割引額の合計を差し引いたものとする。
カットがなくても(予約割引額)お得だし、実際にカット実施となれば(実施割引額)さらにお安くなりますよ、ということである。
ではどのくらい実施されたかというと、07年にカットが実施されたことがあったが、ずっとカット実施なしの年が続いてきたという。
大口需要者は、通常料金でも家庭用より割安なのだが、この「需給調整契約」を結べば、実際にはカットという実害がなくてもさらに安い料金で電気を供給されていたのである。
しかし、この実態は一切公開されてこなかった。それはなぜ?
(つづく)