10日は、「報道ステーション」に、ミリオンセラーの詩集『くじけないで』を出した柴田トヨさん(99歳)が登場した。
苦労した人生だったらしいが、今は、くじけそうになっている人に、自分の詩を読んでほしいという。詩を書きはじめたのはなんと90歳を過ぎてから。
たとえば本のタイトルになった「くじけないで」。
ねえ 不幸だなんて
溜息をつかないで
陽射しやそよ風は
えこひいきしない
夢は
平等に見られるのよ
私 辛いことが
あったけれど
生きていてよかった
あなたもくじけずに
実に素直な詩である。これがなぜ100万部も売れたのかと不思議である。
次にちょっとウルッとくる「こおろぎ」という詩。
深夜 コタツに入って
詩を書き始めた
私 ほんとうは
と 一行書いて
涙があふれた
何処かで
こおろぎが鳴いている
泣く人遊んであげない
コロコロ鳴いている
こおろぎコロスケ
明日もおいでね
明日は笑顔で
待ってるよ
「私 ほんとうは」の次に何を書こうとしたのだろう。
一人暮らしで、足腰が弱って一日中家のなかにいるトヨさんだが、「今とっても幸せです」という。それは、家族はじめ人との絆を大事にし、多くの人々に支えられて生きてこれたことへの深い感謝の気持ちがあるからだ。テレビに映るその優しい笑顔に和まされた。
翌11日は、NHKで「無縁社会」を観た。
絆を失い、孤立に苦しむたくさんの人の姿にため息が出る。生きている意味が見出せず、「死んでしまいたい」と訴える姿に心が痛んだ。
調査でも、幸福度には人との関係が重要だという結果が出ている。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20100618
12日は、中学の同窓会があり、首都圏に住む人中心に集まった。
数年間、初めて「東京同窓会」をやってから次第に頻度が増してきた。
学校の同窓というのは、独特の人間関係である。互いに、昔の「素性」を知っているから信頼感がある。利害関係から離れることができるのでほっとする。
若いころの同窓会は、給料の額を聞いたり、競争意識も漂って、ある種の居心地の悪さもあった。それが還暦間近になると「先」が見えて、もう肩肘張らずに生きていこうやと開き直ってくる。
おそらく「死」が近づいているということもあるのだろう。素直に昔の仲間に会いたいなと思うのである。
人の「絆」を考えさせられる週末だった。