右翼と左翼の「統合」5

政治的志向を見る場合、右翼vs左翼ともう一つ、「自由」翼vs「秩序」翼があるという。
両者を結びつけると、政治志向は、大きく4つに分類される。
1)自由な右志向
2)秩序ある右志向
3)自由な左志向
4)秩序ある左志向

1)「自由な右志向」とは、経済的自由主義者などで、「個人の自由に重きを置くということで自由であり、内的原因を信じているので右である。君が貧しいのは十分勤勉に働いていないからだ。したがって、政府は市場に介入すべきではないし、市場には個人の企業心報わせるべきだ」とする。

2)「秩序ある右志向」は、伝統的保守主義者などで、「集団の価値、公民道徳、家族の価値、等々に重きを置くので秩序的である。内的原因を信じているので右である。この社会の悪いところは、個々が十分に与えられた伝統的価値観を持っていないからである。そこで、学校での祈りをはじめよう、職業倫理を擁護しよう、家族の価値を支持しよう、等々ということになる」

3)「自由な左志向」は、啓蒙主義の古典的なリベラルなどで、個人の自由をどんな要求より優先しようとする。「群集心理や民族中心的宗教に対して、個人の自由が擁護されるということで自由である。人の苦しみの原因は、堕落した、抑圧的な社会制度である。すべての人間は平等に生まれるが、社会は不公正に扱う」とし、しばしば革命の政治観となる。

4)「秩序ある左志向」は、社会主義者や先進国のリベラルの主流で、「教育と政府主導の活動を通して、彼らの価値が社会全体に強要されることを望んでいる」。アファーマティブアクションのように、不平等の是正に強制力をもってのぞんだり、環境目標を社会に強制するのもこの流れだろう。福祉国家はこの志向をベースにしている。
この分類図式は、学者の名前から、チッカリング/スプレッチャー・マトリクスと呼ばれるそうだ。これでどんなことが分かるのか。
(つづく)