右翼と左翼の「統合」7

右と左の「統合」などというと、まるで夢物語のように思われるかもしれない。
しかし、「世界中に、リベラリズム保守主義の最善のものを結合する、よりバランスの取れた包括的な政治学を見出したいという、驚くほど強い願望がある」という。そして、ブッシュの「思いやりのある保守主義」やブレアの「第三の道」などは、その現われだという。欧米の著名なリーダー達のアドバイザーの間では、その新たな枠組み“Third Way”(第三の道)が正面から論じられているそうだ。

政治的方向付けには、「苦しみの原因」による右と左の軸と「秩序・自由」の軸があり、その組み合わせで政治的志向を4分類できるという見方を紹介してきた。
すると、政治的「統合」とは「第一は、左と右の水平的統合であり、第二は、秩序と自由の垂直的統合である」となりそうである。(Drexel Sprecher スプレッチャーの議論、ウィルバー『万物の理論』p149、284)
しかし、これに加えて第三の軸があるという。それは何か。


アメリカでは、生活スタイルや外見で支持政党がすぐ分かると言われる。
例えば、典型的な共和党支持者は;
愛車はハマーやポルシェ、カントリー音楽を聞き、スポーツはロデオ、カーレース、男性はスーツに整えた短髪、女性は量感たっぷりの髪形、好物はフライドチキン、バーベキュー。

一方、民主党支持者は;
プリウスボルボに乗り、音楽はジャズ、ラップ、好きなスポーツはテニスやサッカー、男性はカジュアル系の服に長髪で髭を生やし、女性はさらさら風の髪で、寿司や菜食を好んで食べる。
朝日新聞2010年11月18日記事「世界発2010‐あの人の支持政党の見分け方」より)

アメリカに一年住んだ経験のある私もこの記事の描写に同感である。
二大政党の歴史が長く、民主、共和両党の支持層の固定化が見られるとはいえ、個人の生活スタイルにまで表れるということは、人格の基本的なレベルにも根をもつことを物語っている。単なる政治観の違いだけではない。
個人の政治的志向を形成する第三の軸、それは「発達のレベル」と呼ばれるものだ。
(つづく)