幸せをかぞえて

一日がドタバタとすぎていった。
イランが大統領選挙結果をめぐって大荒れになり、北朝鮮はミサイル発射準備に入り、欧州からは金正雲ニュースが次々に入ってくる。海外3カ国と電話でやりとり。情報の確認、取材中のスタッフへの指示、明日あさってのインタビューの申し込み、次の番組企画の調査などなど・・。今は社内でもメールをやり取りするから、きょうだけで送信メールはたぶん50通を超えただろう。
人手が足りないので、短い英語インタビューは自分でテープおこしをして翻訳していたら、今度は別件でお叱りの電話がかかってくる。拙速に仕事を進めるから、ポカが出、大事な約束を忘れる。電話に向かってごめんなさいとペコペコ謝る。こっちもやらなきゃ、あっちからも急かされ、焦ってくる。呼吸が浅く短くなっているのがわかる。
一方、編集にかかっている番組が複数あり、そのために社内、社外の会議をやっていると、別のトラブル発生で携帯電話がなる。韓国の三大紙に載せる意見広告(http://www.jinken.asia/)の最終原稿で、入稿直前に間違いが見つかり、緊急に訂正しなくてはならないというのだ。翻訳家、デザイナー、広告代理店と手短かに電話で打ち合わせ。
むかしの漫才師、花菱アチャコ「もうムチャクチャでござりまするがな」というフレーズが頭に浮かんだ。
深夜帰宅してお茶を飲みながら、私が所属する小さな同好会の会報をめくった。
ながくがんを患っている女性会員の手紙が紹介されている。痛みが止まってとても助かったという話に続いて;

《痛みから解放されただけで「有難いことです」と手をあわせる自分がいます》
《毎日、小さな幸せを三つ数えながら過ごしています》

身も心も振り回されるような一日だったからだろうか、胸をつかれる思いがした。