旨いは苦い

takase222009-04-07

食物の旨い、不味いはどう分かれているのか。
きっと、ヒトという生物種が生きてきた過程で、必要な栄養素に旨さを、毒になるものに不味さを感じるようになったはずだ。
旨さの代表格の味覚は甘さだろう。「旨いは甘い」と魯山人は言ったそうだが、英語でもsweetという単語は、「甘い」だけでなく「美味しい」という意味にもなる。
反対に、不味いものといえば苦いもの。「良薬口に苦し」というのは、嫌だけれども体のためだから呑みなさいと言いきかせる言葉である。苦いものは食べたくないはずなのに、苦瓜や魚のワタなど、ある種の苦いものをなぜ旨いと思うのだろうか。
実はそういう苦味には微妙な甘さがあるからではないかと思う。たとえば酒のアルコール成分には独特の甘味がある。
日曜、サンプロが終わってから、親の手術の手続きのために故郷の山形に帰った。
すっかり春模様なのだが、置賜盆地に入るとところどころ雪が残っている。私の家も日陰に雪が残っていた。
10センチから20センチくらいの若いフキが庭に生えている。(写真)
蕗の薹が赤ちゃんならこれは思春期。たくさん東京に持ち帰った。茎も葉っぱもそのままゆでて油でいためる。アクを抜かないので苦味が際立つが、これが旨い。
苦くて旨いものを食べると、酒が呑みたくなるのが不思議である。類は友を呼ぶのか。