七万の骨積んで成るガザ和平 (滋賀県 小寺洋一)
おおかたが胸なで下ろす平和賞 (神奈川県 須藤文子)
朝日川柳より
ガザの停戦プロセスの第一段階が始まったとのニュース。とりあえず戦闘がなくなり、人道支援物資がガザに入るのはもろ手を挙げて賛成するが、しかし、イスラエルはこれで“おしまい”にするはずがない。
また、イスラエル一辺倒のトランプが紛争に介入しても、まともな和平は期待できない。トランプがやってるのは、露骨に「力による平和」だ。自らが国連を機能不全に陥れ、国際法にもとづく“解決”ができなくして、世界に無力感が漂うなか、一方が他方を徹底的に叩いたところに出て行って「これ以上抵抗すると、もっと地獄を見るぞ」と弱い方を脅して停戦させる。彼が本気でノーベル平和賞を狙っているとは、しかもそれを公言するとは、信じられない。
ジェノサイドは単なる大量虐殺ではない。「国民的・人種的・民族的・宗教的集団を全部または一部破壊する意図をもって行われた行為」(1948年の「ジェノサイド条約」2条)である。
具体的には以下の行為を指す。
① 集団構成員を殺す
② 集団構成員に重大な肉体的・精神的危害を加える
③ 肉体的破壊を意図した生活条件を故意に課す
④ 出生防止を意図する措置を課す
⑤ 集団の児童を他の集団に強制的に移す
国連人権理事会の独立国際調査委員会は、専門家3人からなり、南アフリカ出身で元国連人権高等弁務官のナヴィ・ピレイ氏が委員長を務めている。ピレイ氏は、ルワンダのジェノサイドに関する国際法廷で裁判長を務めていた。
委員会が発表した9月の報告書は、イスラエル当局およびイスラエル軍がガザのパレスチナ人に対して、上の5件の行為のうち、①から④までの全てを実行していると認定した。
①の「 集団構成員を殺す」 の証拠として
#戦争の最初の1年間で、パレスチナ人の平均寿命が戦争開始前の75.5歳から40.5歳へと46.3%も短くなった。!!
#今年7月15日までに殺された人の少なくとも46%は女性と子ども
#殺された人の83%は民間人
#医療機関が攻撃対象にされている、などを挙げる。
④の「出生防止を意図する措置」については、
ガザ最大の不妊治療センター、アル・バスマ対外受精クリニックへの攻撃を挙げている。イスラエルは毎月2千~3千人の治療を行っていたこのクリニックを戦車で砲撃し、五つの液体タンクを爆発させた。その結果、保管されていた約4千個の凍結胚、千件の精子と卵子のサンプルが破壊されたという。
ジェノサイド認定では、ジェノサイドの「意図」の有無が重要だ。報告書は「ハマスが活動する全ての場所に強力な報復をする」「悪意ある都市を瓦礫にする」というネタニヤフ首相の発言や、パレスチナ人を「人間の姿をした獣」と呼ぶガラント国防相らの発言を引いてジェノサイド実行の「意図」があったとしている。
朝日歌壇にはこんな歌が・・
人の他はおおかた裸足という地球ガザの子どもらおおかた裸足
(大和郡山市 四方護)
しかし、ガザでは子どもだけでなく、大人も裸足だと知って驚いた。
ガザの代表的な医療施設であるナセル病院(国境なき医師団が支援している)のムハンマド・サケル看護部長が取材に答えて、「一足の靴を5人の息子とシェアしています。息子が履いて外出するときは私には靴がなく、夜裸足で歩かなくてはいけないこともあるんです」と語っていた。

医療現場はもちろん極限状況だ。
「数ヵ月間、この病院では、採尿パックもカテーテルもありませんでした。採尿パックの代わりに食器や皿を使わざるを得ませんでした」と看護部長はやつれた表情で語る。
また、NHKガザ事務所のカメラマン、サラーム・アブタホンさんは「卵を少なくとも8カ月食べていない」という。

食べ物が絶対的に足りず、栄養が取れないので、抵抗力が弱くなってけがや病気がなかなか治らないそうだ。医師によるととくに栄養失調の子どもたちは体力、抵抗力がないため重態になりやすく、死亡する可能性が高くなっているという。
このジェノサイドの罪は、一時的に戦争が止もうと消えることはない。