「新聞が消えた日」1

takase222009-08-08

プランターでゴーヤを植えている。
実を採らないでいるとダイダイ色になって、ある日写真のようにパンとはじけ、真っ赤な小さい種を撒き散らした。種はプルプルした膜で覆われており、口に入れたら甘い。実は苦いのに。身近な野菜についても、知らないことがたくさんあるものだなあ。

いま、アメリカのメディア事情はどうなっているのかに関心を持っている。
世界を先取りする国だからこれからの日本のメディアを考える上で参考になるはずだ。
まず、新聞だが、これはもう目を覆いたくなる惨状のようだ。
名門紙が次々に潰れているのだ。
《創業180年の歴史を持つ米地方紙フィラデルフィア・インクワイアラーなどを発行するフィラデルフィア・ニューズペーパーズは23日、日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条の適用を申請し、経営破綻(はたん)したことを明らかにした。今月21日にも別の米地方紙の発行会社が破綻しており、米新聞各社の経営難が深刻化している。
 フィラデルフィア・ニューズペーパーズによると、米景気後退などの影響で「前例のない広告収入の減少」に直面していることが破綻の原因という。同社は今後も新聞発行を続けながら、過大となった負債の圧縮などを進め、経営再建を目指す。
 米新聞業界では、大手のトリビューンが昨年12月に破綻。さらに今月21日には地方紙20紙を発行するジャーナル・レジスターも破産法11条の適用を申請した。 》(2月25日朝日)
ここに出てくる「トリビューン」は部数が全米4位の「ロサンゼルス・タイムズ」や8位の「シカゴ・トリビューン」はじめ全米に8紙を所有し、7000万世帯が視聴可能な23のテレビ局を展開している。プロ野球チーム「シカゴ・カブズ」も持ち、グループ全体で従業員は2万人、年間総収入は55億ドルに達するという。こんなアメリカを代表するメディアグループが経営破綻している。
先日、アメリカのある地方紙が廃刊に追い込まれる経緯とその後を描いたドキュメンタリー「新聞が消えた日」(NHKBSドキュメンタリー)を観た。
コロラド州デンバーの『ロッキー・マウンテン・ニュース』は、今年4月に創刊150周年を迎えるはずだったが、その2ヶ月前の2月27日に廃刊となった。
1859年の創刊号の第一面には、ペリー提督が日本を開国させたという記事が載っている。この年、幕府は横浜を開港していた。
2000年にはコロンバイン高校の銃乱射事件の特集で銃社会の危険を訴える記事で、また05年にはイラク戦争で、部下の家族に死亡を告げにいく上官の苦悩を描いた「最後の敬礼」という記事で、いずれもピューリッツァ−賞を受けた。
これほどの長い歴史と高いクオリティを持つ新聞が廃刊になったのはなぜか。
この新聞を傘下におく「スクリプト」社の社長は「経済危機の犠牲になった」というが、はたしてそうなのか。
(つづく)