東部中学が2年連続ビデオ大賞

こどもたちが自作の映像作品を競い合う「キッド・ウィットネス・ニュース」(注)のビデオ作品コンテストが今年も行なわれ、長野県東御市立東部中学が最優秀作品賞に選ばれた。2年連続優勝の快挙だ。
私の昔からの友人が、この中学で教員をしていることもあって、私はこの賞に注目している。審査対象は、小中学生が、シナリオ作り、カメラ撮影、編集、ナレーションとみな自分たちで仕上げた作品だ。最優秀作品の今年のタイトルは「水は世界をめぐる」で、地球環境という観点から水を扱っている。http://ch.panasonic.co.jp/index.html?contents=00998

この中学の生徒がホームステイしたオーストラリアで、いま水不足が深刻だというニュースが入ったことから話ははじまる。実は水不足は昔々、この中学のある地元でも起こったことで、農業用水を6対4に分ける堰も紹介される。つまり水不足は他人事ではなかったのだ。さらに身近に考えてもらうために、牛丼を取上げる。牛を育てるためには膨大な水が必要だという。それは、飼料となる穀物栽培にかかる水を含むからだ。日本人が食べる牛肉の58%は輸入。さらに輸入牛肉の82%は、問題の水不足のオーストラリアから来るという。自分たちの食生活にも関係していたのだと気づき、しっかり考えようとビデオは訴えている。
牛丼でオーストラリアと日本を結び、水争いという自分たちの地元の歴史にも結びつけて多面的に考えさせる工夫がされている。なるほどと思わせる。
オーストラリア現地への電話取材あり、江戸時代の再現シーンあり、テレビのクイズ番組風の演出あり、みんなで知恵を絞って奮闘した成果が出ている。他の作品と比べて頭一つ抜き出ており、当然の受賞である。
去年の東部中の最優秀作品「お地蔵さんが語るもの」も面白い。これも「水」がテーマなのだが、実際に観ていただくことにして、この不思議なタイトルの種明かしはしないでおこう。http://ch.panasonic.co.jp/index.html?contents=00707
都会の私立校ではなく、失礼ながら、ド田舎の普通の公立中学が、2年連続日本一になったのは痛快だ。すごいぞ、東部中学!登場する中学生の表情はとても「まっすぐ」で、こういうのを見ていると日本の将来に希望を持つことができる。
注)《KWN(キッド・ウイットネス・ニュース)は、パナソニックがグローバルに展開する教育支援プログラムで、小中学校レベルの子供たちを対象にビデオ制作を通じて創造性やコミュニケーション能力を高め、チームワークを養うことを目的としています。
1988年にアメリカでKWNプログラムが始まって以来、現在まで全世界で10万人以上の子供たちが参加しています。パナソニックは参加校に対し、ビデオ制作用の機材を貸し出し、年1回のコンテストでは、ニュース、ドキュメンタリー、ドラマ、コマーシャルなど10以上の部門で優秀作品を表彰しています。
2004年からは、このコンテストに国際部門賞をつくり、グローバルな展開が始まっています。2007年6月現在世界21カ国500校以上、約1万人の子どもたちが参加しています。そして、2007年からは参加国/校数の増加に伴い、KWNグローバルコンテストを毎年開催いたします。》「キッド・ウィットネス・ニュース」のサイトより