夜間中学を知っていますか


きょうは娘の大学の卒業式だった。入学式も出ていないので、卒業式くらいは行ってみようとキャンパスに出かけた。

娘は卒業式などに親が来るのはうるさいと思っているのか、式は何時にどこであるのか聞いても「大学のホームページに載ってるよ」としか言わないので勝手に行った。
キャンパスは、ハカマ姿が多いが、外語大らしく、アオザイチマチョゴリなどの女子もいて華やかだ。娘はタイの正装でちょっと目立っていた。満開の桜の下で記念写真だけ撮って式には出ずに仕事に戻った。まあ、ほっとした気分ではある。

・・・・・・・・・
 いま編集中なのが、あす27日(火)に放送予定の「夜間中学」だ。タイトルは「夜間中学を知っていますかーある不登校生徒の旅立ち」。
 去年4月、ある通知が文科省から各都道府県の知事や教育委員会教育長あてに出された。
「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針の策定について」という通知は、夜間中学を大幅に増やすべしとしている。
 今どき「夜間中学」といってもピンとこないかもしれない。夜間中学とは、「生活困窮などの理由から,昼間に就労または家事手伝い等を余儀なくされた学齢生徒等を対象として,夜間において義務教育の機会を提供するため,中学校に設けられた特別の学級」をいう。(1985年(昭和60年)11月22日中曽根康弘内閣総理大臣答弁書

 ピーク時は89校もあったが、現在、公立の夜間中学が設置されているのは、8都府県25市区31校まで減っている。戦後の混乱期をひきずる制度で、今は不要になったと思いきや、これを急いで大増設せよというのだ。いったい何が起きているのか。
 夜間中学で学んできたのはさまざまな人々だ。学校に行けなかった在日コリアン、日中国交回復の後は中国からの残留孤児とその家族、ベトナム戦争終結後はインドシナ難民も通っていた。生徒の顔ぶれには時代が反映している。今も外国籍の人が多く、私たちが取材した東京・葛飾区にある双葉中学校では8割を占める。
 この夜間中学に今あらたなニーズが出てきた。それは「義務教育未修了者」の問題だ。いじめや貧困など、さまざまな理由で不登校になる児童・生徒の増加だ。1970年代、80年代、中学校の不登校生徒数の割合は1%以下だったのが、2000年以降2%台後半から3%近くへと増えている。ここにびっくりするような報告がある。全国夜間中学校研究会等によれば「義務教育未修了者」が全国で160万5千人超、内閣総理大臣答弁書によれば約70万人いるというのだ。日弁連「学齢期に就学することができなかった人々の教育を受ける権利の保障に関する意見書」)
 以前は、不登校でも義務教育だからと形だけ卒業資格を与えて「形式卒業」にしていた。形だけでも中学卒業となれば、「夜間中学」には入れなかった。粘り強い働きかけで14年4月、超党派の「夜間中学等義務教育拡充議員連盟」(会長・馳浩自民党衆院議員)ができ、文科省も夜間中学を「貧困のセーフティーネット」と位置づけ、動き出した。15年7月、文科省は「形式卒業者」への門戸を広げる通知を出した。そして16年12月には、「教育機会確保法」が議員立法で成立した。初めて夜間中学を法的に位置づけ、不登校などで学齢期に学校に通えなかった人の就学機会を夜間中学などで確保するよう各自治体に求めたのだ。(『アエラ』20171025https://dot.asahi.com/aera/2017102500086.html?page=3参照)
 夜間中学のクラスには、国籍も年齢もさまざまな生徒がやってくる。双葉中学校では、6つの国籍の17歳から60歳過ぎまでの54人が学んでいる。今回の特集では、昼間の中学で不登校だった生徒が高校受験を経て卒業するまでの4カ月を追った。

 この特集は、日本テレビの夕方のニュース番組「every」の関東ローカル(東京都と関東6県)で27日(火)午後6時15分から放送予定です。急な予定変更もありますので、ご了承ください。