先月のことだが、東京都内のある夜間中学の文化祭に行ってみた。
手芸や工作で作った作品、作文や修学旅行の思い出の品などが展示され、歌や踊りも披露されて、盛り上がっていた。夜間中学ならではの名物は、国際色豊かな料理コーナー。ここに学ぶ生徒の8割ほどが外国籍なのだ。タイ、中国、ネパール・インド、韓国、フィリピンなどの料理は生徒たちの手作り。嬉しそうに給仕していた。
文化祭にやってきた人の年齢が高いのも特徴で、私の前に並んでいた初老の女性たちは以前ここに通っていたコリアンだった。
恩師が懐かしくて毎年文化祭に来るというSさん。戦後、家族を養うために働いたため、中学を卒業しないままだったという。高齢になって印刷屋をたたみ、もう一度勉強しようと夜間中学に入ったそうだ。生徒会の副会長として催しの時には挨拶をしたこと、みんなで行った修学旅行、いろんな国の人と知り合えたことなどを楽しそうに回顧していた。
「水餃子がうまいんだ。かみさんから家族4人分買ってきてくれといわれてね」とSさん。5個で150円はお得だし、たしかにうまかった。
いい雰囲気である。昼間の中学より楽しそうだ。ここで学んだ人は民族差別などとは無縁だろう。
ところで、前文科事務次官・前川喜平さんが夜間中学でボラティアで教えていることをご存じだろうか。あの天下り問題の責任を取って文科省を去り、加計学園問題で再び時の人になった前川さんだ。https://dot.asahi.com/aera/2017102500086.html
彼は以前から夜間中学の増設に取り組んできたという。去年から今年にかけて、夜間中学に関する大きな政策転換があった背景の一つに、彼のような官僚組織内部の人びとの努力もあったのだろう。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20171204
前川さんは、出会い系バー通いをスキャンダラスに報じられたが、あれはやはり、彼自身が言ったとおり「女性の貧困問題の調査」だったと思う。彼の恵まれない立場にある人への思いやりは本物だった。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170601