ホワイトハウスもう一人の住人

takase222007-09-25

アメリカ出張中、ホワイトハウスを撮影に行った。ここは何度か撮影したが、いつも反戦を訴えているおばさんがいる。この人、ホワイトハウス前の通りをはさんだ歩道で、反戦ポスターの看板を立て、観光客にアメリカはイラクから手を引け、ヒロシマを繰り返すなとアピールしている。
写真で分かるように本当にホワイトハウスの目の前だ。
興味を持ったので、話しかけてみた。
コンセプシオン・ピシオットさんというスペイン生まれの女性で、24時間ずっとここにいるのだという。夜はビニールの雨よけの中で寝るのだそうだ。おどろくのは、この暮らしをなんと26年間続けているということだ。
トイレはどうするんですか?
マクドナルドに行くのよ」
ではシャワーを浴びたりは?
「支援者の家が近くにあって、そこで使わせてくれます」
収入はありますか?
「ありません。カンパや差し入れだけです」
この根性には脱帽だ。こういう人に会うと私は単純に感心してしまう。彼女が配布するDVDを買ってカンパし、食料を差し入れた。
後で知ったのだが、彼女、けっこうな有名人で、ムーア監督の「華氏911」にも登場している。興味がある人は、ホームページ「ホワイトハウスの隣人」http://prop1.org/conchita/を参照されたい。ここまで来るには、何度も逮捕されるなど、すさまじい苦労があったという。今でも、朝早く何者かが立て看板を破壊したりする事件がときどき起きるそうだ。
ピシオットさんによると、以前は通りの向こう側、つまりホワイトハウスの敷地に接した歩道に座り込んでいたのが、強制的に通りをはさんだ今の場所に移動させられたという。また、立て看板は2枚までとされ、縦横のサイズを細かく規制された。「弾圧が厳しくなっている。民主主義の危機です」とピシオットさんは憤慨する。
でも規制があるとはいえ、彼女の座り込みを法律で認めているわけである。日本の首相官邸前の歩道に、抗議で何年も座り込むなど想像できない。
アメリカ民主主義の懐の深さにも感心する。これもアメリカという国家の一面である。