やっと認めた「他国での武力行使」

takase222015-05-28

山吹の植込みが続く道。
晩春というより、気温は真夏。東京では5月の夏日の日数の記録を更新しているという。

ヤマブキといえば昔、クレヨンに「山吹色」があったが、今はどうなんだろう。「黄土(おうど)色」とか「橙(だいだい)色」などは?
このごろ、サーモンピンクだのネイビーブルーだのと、色を横文字で表すが、私などはすぐにその色が思い浮かばなくて困る。「朱色」はチャイニーズレッドというんだそうな。
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きょう夕方、仕事をしながらつけっぱなしにしているテレビで、衆院安保特別委員会を中継していた。辻元清美議員が、「切迫事態」と新しく登場した「存立危機事態」の違いを質問すると、中谷防衛大臣がしどろもどろになった。
かみさんも、自宅でテレビから目が離せなくなったそうで、それほど面白い、というか、むちゃくちゃな答弁だった。
辻本議員によると、これまでは、日本が直接攻撃された時しか武力行使を出来なかった。また武力行使までの段階として「武力攻撃予測事態」、「武力攻撃切迫事態」があったが、今回「存立危機事態」が加わった。
「『切迫事態』では武力行使できないが、『存立危機事態』では武力行使ができる。さらに前者は日本が直接攻撃を受けた場合に限られるが、後者は日本が直接攻撃を受けていない場合でも武力行使ができる。両者の違いや、判断はどこでするのか」と辻本議員が問いただしたのだ。中谷防衛大臣は官僚の用意した原稿を読むだけだが、自分でも何を言っているのか分からない様子。ところが、いいところで「国会中継を終わります」。
このあと、中谷大臣の答弁がさらに混迷して、いらついた安倍首相が「はやく質問しろよ!」とヤジをとばして審議が中断した。

あるコメンテーターが、「いまの安保法制の議論は、『何が分からないのか』が分からない」と言っていた。
朝日新聞は社説で、
《野党側の追及に対して、政府側は「リスクの増大」を明言しようとしない。
安保法制を審議する衆院の特別委員会がきのう始まったが、論議がかみ合わない。原因はもっぱら、安倍首相や中谷防衛相らの不明確な答弁にある。(略)
自衛隊員のリスクが高まるのは明らかであり、そのことを前提としなければ、およそ現実味に欠ける。このままでは論戦自体が成り立たない。》(28日)
そのとおりだ。
本当は海外の紛争への関与を一気に強める大転換なのに(そうでなけでば、これほど多くの法案を集中的につくる必要はそもそもない)、国民に反対されないよう、今までと変わりません、自衛隊は危ないことはしません(「一般に」「例外として」「現在は」という言葉を何度も使って)とごまかしている。
大事なところを隠し、国民に正確なところを知らせないようにしているのだから、議論が分からなくなるのは当然だ。

辻本議員のブログによれば、
《この日の質疑で、「新三要件が満たされれば、他国の領土,領海、領空でも武力行使ができるのか」と繰り返し私が質問したところ、安倍総理はようやく「法理上ではありうる」と認めました》とある。
新聞やテレビは、首相のヤジにばかり注目していたが、これは大事なポイントだ。
他国に自衛隊を出すための法案なのだから、当たり前なのだが、こんなことを今になってしぶしぶ認めたということか。
安倍政権は、国民の目を塞ぎながら暴走している。